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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 ノア

「明日、みんなで川に行くんだけど」


リアがそう話している間。


床に伸びていたノアが、ぴくりと耳を動かした。


「……」


悠は気づいていない。


リアも気づいていない。


けれど。


ノアだけは、しっかり聞いていた。


「川」


その言葉に反応するように。


「きゅ!」


突然、ノアが立ち上がった。


「……?」


悠が振り返る。


さっきまで床に溶けていたはずなのに。


ノアは元気よく尻尾を振っている。


「きゅ! きゅ!」


「……川、行きたいの?」


「きゅ!」


即答だった。


しかも。


ものすごく乗り気だ。


ノアは悠の周りをぐるぐる回り始める。


「きゅー!」


「……」


悠は少しだけ嫌な予感がした。


ノアは好奇心が強い。


畑を荒らしたこともある。


家の中を走り回ることもある。


そして。


水を見ると、たぶん飛び込む。


悠はノアを見る。


「……泳げるのか?」


ノアが止まる。


悠を見上げる。


そして。


胸を張った。


小さな翼を広げる。


「きゅ!」


自信満々だった。


「……」


本当に泳げるのか。


そもそも。


ドラゴンは泳ぐものなのか。


悠には分からない。


けれど。


ノアの顔を見る限り。


本人は、できると思っているらしい。


「……まあ、いいか」


悠がそう言うと。


「きゅ!」


ノアは嬉しそうに鳴いた。


リアも笑う。


「ノア、明日楽しみだね」


「きゅ!」


ノアはさらに元気になった。


悠はそんなノアを見ながら。


明日の川で何か起こりそうな気がした。


「……」


まあ。


たぶん、大丈夫だろう。


――たぶん。


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