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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第40話 夜の祭り Scene1 料理

# 第40話 夜の祭り


### Scene1 料理


夜。


空には星が見え始めていた。


昼間とは違い、村のあちこちに明かりが灯っている。


広場には大きな食卓がいくつも並べられ、その上には料理が所狭しと並んでいた。


焼いた肉。


野菜の煮込み。


パン。


果物。


村で採れた食材を使った料理が、次々と運ばれてくる。


村人たちはそれぞれ好きな場所に座り、料理を囲んでいた。


悠も、その端の席に座っていた。


ノアは悠の足元で、料理の匂いを嗅いでいる。


「きゅ……」


「……」


悠はノアを見る。


「まだだぞ」


「きゅ」


不満そうな声が返ってくる。


そのとき。


「悠、もっと食べろ」


向かいに座っていた村人が、料理を取り分けてくれた。


「……ありがとう」


悠は皿を受け取る。


特別な料理ではない。


いつも村で食べているような、素朴な料理だ。


けれど。


こうして大勢で食べるのは、少しだけ新鮮だった。


悠が食べ始めると。


足元から、また声がする。


「きゅ!」


ノアが料理を見上げていた。


「……」


悠は自分の皿を見る。


そして、ノアを見る。


「……お前は食べすぎ」


「きゅ!?」


まるで抗議するように、ノアが鳴いた。


それを聞いて、近くにいた村人たちが笑い出す。


「ははは!」


「ノアはまだ食べたいみたいだぞ」


「育ち盛りだからな!」


「……」


悠は少し困った顔をする。


けれど。


つられて、ほんの少しだけ笑った。


「……仕方ないな」


そう言って、少しだけノアの分を取り分ける。


「きゅ!」


途端に、ノアが嬉しそうに鳴いた。


また周囲から笑い声が起こる。


悠はその中で、黙々と料理を食べる。


誰かに注目されているわけではない。


特別な客として扱われているわけでもない。


ただ、そこに座って。


料理を分けてもらって。


ノアの食べ過ぎを注意して。


みんなと同じ食卓を囲んでいる。


それだけだった。


「……」


悠は、ふと周りを見る。


笑い声が聞こえる。


料理の匂いがする。


隣ではノアが夢中になって食べている。


少し離れたところでは、リアが村人たちと話している。


昼間とは違う、夜の祭り。


悠はもう一度、料理を口に運んだ。


「……」


なんとなく。


悪くない。


そんなことを思いながら、悠は静かに食事を続けた。


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