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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第39話 踊り Scene1 村人の踊り


夕方。


空が少しずつ赤く染まり始めた頃。


広場に、ゆっくりと音楽が流れ始めた。


昼間まで屋台が並んでいた場所には、いつの間にか人が集まっている。


村人たちは互いに声を掛け合いながら、広場の中央へと集まっていく。


やがて。


何人かが手を取り合い、円を作った。


音楽に合わせて、一歩。


そして、もう一歩。


輪がゆっくりと動き始める。


「始まったね」


隣にいたリアが、楽しそうに言った。


「……踊り?」


「うん。毎年やってるんだよ」


悠は広場を見る。


村人たちが笑いながら踊っている。


昼間とは、また違った祭りの雰囲気だった。


すると。


「リアー!」


輪の中から声が飛んできた。


「こっちおいで!」


「早く!」


リアは少し困ったように笑う。


「呼ばれちゃった」


悠はリアを見る。


「……行ってきなよ」


「悠は?」


「……ここで見る」


リアは一瞬だけ悠を見る。


けれど、何かを言うことはなかった。


「そっか」


それだけ言って、笑う。


「じゃあ、行ってくるね」


「……うん」


リアは広場の中央へ走っていった。


村人たちの輪に入る。


そして、音楽に合わせて楽しそうに踊り始めた。


悠はその姿を見送る。


「……」


広場の端に置かれていた木箱に腰を下ろす。


少し離れた場所から、踊りを眺める。


村人たちは楽しそうだった。


手を取り合って。


笑って。


時々、誰かが動きを間違えて笑い声が起こる。


それにつられるように、周りも笑う。


悠は何もせず、ただ見ていた。


音楽が流れている。


人の声も聞こえる。


昼間と同じように、人は多い。


それでも。


今は、不思議とそこまで疲れなかった。


リアが踊っている。


村の人たちも楽しそうにしている。


自分は、その少し外側にいる。


それでいい。


無理に輪の中へ入る必要はない。


ここから見ているだけでも。


祭りの時間は、ちゃんと楽しめる。


悠は木箱に座ったまま、しばらく広場を眺めていた。


そして。


ほんの少しだけ。


祭りの音楽に耳を傾けていた。


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