4.
なんて考えても仕方ないか。
一人ずつ主張を聞けるわけじゃないし。
とりあえず、シグルド殿下が隣の席で良かったと思いながら、目の前のお皿のお肉を少しずつ切って食べ始めた。
食欲はないけど、食べておかないと後でお腹空いちゃうし。
◇
「今日は魔力の前に王城の庭でも散策しよう。外の空気が恋しいんじゃ?」
「よく晴れてるし、暑くも寒くもないもんね。そういえば、カトルフェスには四季ってあるの?」
「四季か……ある国の方が少ないんじゃないかな。カトルフェスは一年中温暖な気候だよ」
「え、そうなの?」
「ん? そうだよ」
それは過ごしやすそうだけど、ちょっと寂しいし切ない。
夏は苦手だけど、冬はどちらかと言えば好きだったりする。
あんまりにも寒いのはやだけど。
「お手をどうぞ」
「じゃ、じゃあ遠慮なく」
シグルド殿下の腕に手を添えて、ゆっくり歩き出す。
ドレスの長い裾にはまだ慣れない。何回も踏んじゃっている。
「今は八重のスゥラという大輪の花が見頃だよ。何色も色があるから、楽しめると思う」
「へー。どんな花だろう」
花もそうだけど、庭も見られるのは嬉しい。きっと広いんだろうな。
◇
「つ、疲れた。庭の散策をしただけなのに……広いだろうとは思っていたけど、広すぎた」
「そんなカスミにプレゼント。部屋に飾って」
よく澄んだ泉が見渡せる庭園の東屋でピンクのスゥラの花束を渡されて、華やかな香りが漂ってくる。
スゥラは、薔薇に似た花だった。
花束は迫力がある。
「そういえば、花言葉ってあるの?」
「あるけど、この花束に深い意味はないよ。ただ単に一番綺麗に咲いていたからだからね?」
「因みにどんな花言葉なんですか?」
「恋の訪れ……」
視線を逸らして小さく呟くシグルド殿下に、笑いがこみ上げる。
「笑うとこか?」
「だって。それはないですね。ありがとう」
「今度は城の外にも行こうか。その前に魔法の放出を学ばないとかな」
「が、頑張る」
「教師がつくと思うけど、私も魔力を渡す時に少し教えるから」
「頼りにしてます」
うんと頷いて、シグルド殿下の肩をぽんぽんと叩いた。




