3.
城の大広間には百人越えの貴族の人達……。
え、昨日の今日でこんなに集まったの……カトルフェス怖い。
私は薄荷色のドレスを着て、シグルド殿下の隣に座っている。
晩餐会の前に、国王陛下と妃殿下、つまりシグルド殿下のご両親に挨拶したけど、妃殿下は大変ねって抱きしめてくれて、本当にごめんなさいと謝ってくれた。
何でも前回までの召喚は魔石を喚びだしていたらしい。それが今回、ものの指定をしなかったら、私が現れたとのことで。
この世界で生きていくには魔力が必要不可欠だから、生活に必要ならば、渡されたシグルド殿下の魔力も使っていいと言われた。
使い切らないだろうけどとも付け足して。
この世界で暮らしていくうちに私にも自分の魔力が発生するだろうけど、シグルド殿下の力を渡されてるから、シグルド殿下の魔力と近い力の質になるだろうと言われた。
殿下の力は強大で、濃密な金色の魔力らしい。
濃密な魔力だと、余った力でも魔石を消耗させるから、魔法の威力は強くても良し悪しらしい。
殿下はこれまで、溢れる魔力を魔石に注ぎ込んでいたらしいけど、そのために通常なら二、三度繰り返しで使える魔石でも一回でダメにしてきたらしい。
それも大量に。国民に広く配られたし、有用に利用されてはいたけど、掘り出す魔石と消費する魔石の釣り合いがとれなくなって。
どうにもいかなくて、多世界の召喚に挑んだとか……。
シグルド殿下は、その強大な魔力が暴走しないようにいくつも魔導具を着けていて。
使いこなせるように多くを学び、発散にも力を入れてきたらしい。
そんな魔力を受け止め切れるのかなあ、私……。
「食が進んでないね。美味しくない?」
「いえ、いや、あの、美味しいけど、気持ちがいっぱいで、お腹に入っていかないの」
こちらを見る視線も多いし。
長い黒髪はルーシャにまとめてもらったし、メイクもしてもらった。
ドレスも身体に合ってると思うし、出来るだけ顔は上げてるけど、異世界の貴族が考えることなんて、私には分からない。
突如現れた私をこの人達はどう思っているのだろう。
もしシグルド殿下の魔力が暴走したら、この世界の一番広い大陸の半分は人が住めない場所になってしまうとか。
ストッパーとして歓迎されるかな。それとも。




