最後の願い 2
書きだめなんて出来るわけないだろぅ?
できたら即投下だ。
重力加速を最大まで受けた隕石は数センチでも家の壁を難なく貫いて地面に突き刺さる程の威力だ。
常人が食らって無事でいられるはずがない。
「主様!」
だが三ツ境は立っていた。
衝撃波で全身に切り傷を負いながらも実在しない隕石を消しきったのだ。
「っ……! はーっ……はーっ……流石に死ぬかと思った……」
心配して寄ってくるユキ達を手で制すると荒い息をつく。
「なん……で……?」
もはやルルリエに抵抗する力は残されていなかった。
相手側に無事な戦力が二人いる以上これは敗北を意味する。
「私の方が生きたい思いが強かったってだけよ」
「そんなっ! 私だって!」
「私の話を聞いて迷いが生じたでしょ? 所詮その程度ってことよ。それに対して私はこの町の――――ひいてはこの世界のみんなの存在を背負ってんの。覚悟が違うわ」
三ツ境は傷だらけの身体を引きずりながら少し透明がかったルルリエの元へ歩いて行く。
最初からこうなることはわかっていた。
一縷の願いにかけて些細な抵抗をしたに過ぎない。
「私は1を殺して10が生きるのならどんなに残酷な選択だったとしても10をとる」
「私はその1なのね……」
ルルリエは自分と言う存在を全否定されたようでへたりこんだ。
所詮自分は無価値な人形。
他人に依存し迷惑をかけなければ生きられない木偶なのだと。
悔しさから悲しさから頬に一筋の涙がこぼれ落ちた。
「……ごめん。今はまだこんな方法しか取れないけどいつかきっとあなた達が普通に暮らして行ける方法を見つける。だから……それまで眠ってて」
「え……? 私たちの存在を消すんじゃ……」
「ええと……気が変わったのよ」
唐突にかけられた優しい言葉にルルリエはきょとんとする。
きっと最初から消す気なんて無かったのだろう。
思い返せばこの三ツ境と言う少女は自分達に甘かった。
自分達の存在に気づいていたならすぐ退治しに来れば良いのに霧子を送り込んで偵察をさせた。
その後の戦いでもわざわざ敵対する理由を話してくれたり猶予を与えてくれていた。
よくよく考えれば彼女の行動は矛盾だらけではないか。
「……ふふっ」
そうわかると途端に怖くなくなって思わず笑みが溢れてしまった。
「何が可笑しいのよ。ホントに消すわよ」
「思ったより優しい人で良かったのだわ」
「……うるさい」
三ツ境は自身の本質が見抜かれ面白くなさそうに顔をしかめてそっぽを向いてしまった。
同じ世界に同じ時間に居たのならお友だちになれていたかもしれない。
「それじゃあ迷惑ついでに。眠る前に一つお願いがあるのだわ」
その優しさに漬け込んでルルリエは初めて人に一つの願いを話した。
「随分傲慢じゃないの。自分の立場わかってる?」
「それがきっと私の性分なのだわ。それとももう一回流れ星見たい?」
「わかったわかった。おっしゃる通りに致しますよ眠り姫」
「眠り姫? それは何なのだわ?」
「悪い魔女に呪いをかけられて眠らされるけど王子さまのキ……キスで目覚める童話のお姫様の事よ」
「私たちみたいなのだわ」
「それは私が悪い魔女って言いたいの?」
「あら? 違う?」
「やっぱり消したろか」
からかい合う二人の姿は見た目の年齢が似通っていた事もあり旧来の友人のようだった。
「……それじゃ、お休み」
「ありがとう。また会う日までサヨナラなのだわ」
その言葉は今まで会った全ての人に。
素晴らしきこの世界に向け。
精一杯の感謝を込めて――――。
第一章のメインストーリーは一先ずこれで終わりとなります。
後日プロローグを投稿してホントに終わり!




