最後の願い
眠い!
仕方無いね!!
「コァォン!」
己の存在をかけた戦いの口火は青白い狐火で切られた。
「くそっ! めんどくさいな!」
どれ程効力の強い札を所持してようと三ツ境は人間だ。
だから超常的な跳躍で広がる炎を避けきれるはずもなく防戦を強いられた。
「霧子! ユキ! あいつの動きを止めて!」
「わかりました!」
「了解です!」
彼女の指示の元、霧子は亜とうんを引き連れ、ユキは自身の得物である日本刀を手に妖狐へと左右に別れて突っ込む。
「コァッ!」
センは三手に別れた敵を煩わしそうに睨み付けると地面に向けて火を吹いた。
「あちちっ」
「厄介な……」
火はそれぞれの――――特に突撃をしようとしていた二人の行く手を遮った。
一般にも広く知られた大妖怪妖狐の力は伊達ではなかった。
「センさん……」
その頃センの尾に守られるルルリエは何もできずふわふわに遮られた視界の中で迷っていた。
自分はなぜ存在してはいけないのか。
その理由は分かっている。
この世界において自分は異質だからだ。
だけど帰る場所はないし消えたくない。
そしてそんな我儘は蒼太の迷惑になっているのではないか。
『これからどうするの?』
出会った最初の頃の蒼太の困ったようなだけどどこか楽しそうな顔が思い浮かぶ。
それにさっきも今もこうして守ってくれようとしている。
これは自分が存在していて良いと言う事ではないか。
「うん……いや、きっとそうなのだわ」
思い込みだったとしても独りよがりだとしてもそう信じたいから。
何を迷うことがある。それで良いではないか。
「コォァッ……」
金色のもふもふが消えて行く。
妖狐のセンが敗れたのだ。
大妖怪も数の暴力には勝てなかった。
周囲を凪ぎ払う狐火も人一人分の生命力では打ち止めになり、その息切れした瞬間を三ツ境たちは見逃さなかったのだ。
「ふぅ……やっと倒れ……ん?」
連戦で息の上がり始めた三ツ境たちの前に現れたのは両手を組んで祈りを捧げているルルリエの姿だった。
何をしているのか考える前に聞こえてきたのは祈りの声。
願いの内容。
「あぁ……どうか私の存在が誰かの願いなのならば――――」
星々煌めく静かな夜空を見上げ異世界から来た少女が願う。
破滅的で独善的な最後の願いを。
「目の前の敵を消し飛ばせ」
その言葉は彼女の存在と言う一種の奇跡と呼応して存在しない物を作り出す。
「んな馬鹿な……」
それは光。
それは流星。
星空の落とした一粒の涙――――小さな隕石だった。
大気圏を流れ落ちる石の固まりは瞬く間に光の帯を纏って真っ直ぐこちらに向かって飛んでくる。
「おねえさま――――!」
「主様――――!」
軌道を予測して主人の危機を察した霧子とユキが三ツ境の元へ駆け寄るが到底間に合わず、三ツ境は光の波に飲まれた。
春眠暁を覚えずと言いますが普通に寝不足です。
毎日8時間くらい寝たいです。




