お掃除の時間
こんな夜中にはラーメン食べたくなりますよね。
あとはチョコ……甘い物しょっぱい物の無限ループ。
カロリー過多にはご注意を。
和服少女の姿をした狐の神様センが居候を決め込んだ後、やっと落ち着いて夕食をとった蒼太たち。
しかしまだちゃんと部屋割りを決めていなかったことに気が付きやれ角部屋がいいだの和室がいいだの我が儘――談義を経て各々の部屋が決まったのはすっかり日が落ちた後であった。
「これ、捨てていい?」
「あー……一応とっておいて」
「この箪笥の中身はこの段ボールに入れておけば良いかの?」
「そうだね」
それから全員で使っていなかった部屋の清掃をしていたがこれがなかなか終わらず難航していた。
と言うのも一年前蒼太の両親が不慮の事故で亡くなってから何も触っていなかった部屋には物は置きっぱなしで塵や埃が好き放題に溜まり足の裏が黒くなるほどであったからだ。
それに内装を変えるにあたり要るものと要らないものは家主である蒼太の判断に委ねられているのでいちいち確認をとらなければならない。
「この写真は蒼太の家族のじゃな。そしてこれは……猫?」
そんな中、センが写真立てを見つけて埃をはたきながら映っているものを確認して首をかしげた。
幸せそうな家族の写真が飾ってあるのはわかるが可愛らしい猫の写真がその横に並べられていたのだ。
この家に猫などいないのに。
「蒼太。猫を飼っていたのか?」
「ん……? 猫? 猫……あぁ……そういえば飼ってたっけなぁ……」
蒼太は眉間を押さえて悩みながら言う。
その写真を見て確かに猫を飼っていた記憶が頭をよぎったのだがどうにも靄がかかったようにはっきりと思い出せない。
「む……? その猫とは仲が悪かったのか?」
「いや、とても仲良くて……父さんたちが死んだ後も一緒だった……確かミー……ミーちゃんって名前も僕がつけて……」
「私のお友達と似た名前なのだわ!」
そんな時、思い悩む蒼太の陰鬱な気持ちを吹き飛ばすようにルルリエか目を輝かせて飛び出してきた。
「そういやそうだね……どうして今まで気づかなかったんだ?」
仮に今まで忘れていたとしてもルルリエの友達だというミーニャと言う名前で脳から記憶が関連付けられて思い出していてもいいはずだ。
いやそもそも可愛がっていた飼い猫のことをそんなに簡単に忘れるものだろうか。
頭に浮かんできたその疑問に霧子が答えた。
「きっと両親が亡くなったショックで忘れていたのよ」
「それは……いや、そうかもな……」
そのような症状は聞いたことがある。
強いショックを受けるとその前後の記憶が無くなる事があると。
蒼太は面と向かってそう言われるとそんな気がしてきてどうでも良いかと思い始めた。
「さ、過ぎたことより今の事! 振り返ってばかりじゃいつまでも終わんないわよ!」
「「はーい」」
それから霧子は手を叩いて別のことに移りそうになっていた興味を掃除へ向けさせた。
確かに彼女の言う通り掃除の大敵は懐古と漫画だ。思わぬ掘り出し物に気をとられて本来の目的を忘れてはならない。
ましてや今はもう夜だ。手際よく掃除しないと朝日を拝むことになってしまう。
蒼太たちはいそいそと清掃を再開した。
「むぅ……」
ただ、そのなかでセンだけは怪訝な顔をで蒼太の背中を見ていた。
「まだあまりこやつらのことは知らぬし動くべきではない……か」
だが誰にも聞こえないくらいの小声でそうつぶやくと特に何をするわけでもなく彼女も雑巾を持って自身の部屋へと向かった。
「……」
その様子を霧子が横目で監視していたとはつゆ知らず――――。
「よし! 大体片付いたわね」
無心に掃除に没頭すること数時間。
取り急ぎ必要となる3部屋は大体片づけ終わった。
家具は整理され畳も元の色を取り戻し、死んでいた部屋はすっかり生気を取り戻していた。
しかし彼らはいざ寝るだけとなるにあたり一つ重要なことを忘れていたことに気付いた。
「……布団は?」
「あっ……」
カビとダニの温床となっているだろう布団に女の子を寝かせるわけにはいかず、蒼太は泣く泣く昨日まで自分が使っていた布団とその予備を譲り渡すと毛布一つ持って居間で寝ることになるのだった。
この時期はやること多くて大変だね!




