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ろりかむほーむ ~幼女がせめてきたぞっ!~  作者: 白井アレ
第一章 祝福された動人形(Living doll)
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VSけもみみ少女

けもみみは正義。古事記にもそう書かれている。


 「なんか騒がしかったけど大丈夫?」

 「あーうん。やっぱりなんかこう……頭のおかしな子だったから追い返しておいた」


 蒼太はけもみみ少女とのやり取りを心配して来た霧子になんともなかったとジェスチャー混じりに伝える。


 「頭のおかしな子ねぇ……」

 「でも話も聞かずにドアを閉めるのはちょっと可愛そうなのだわ」

 「聞いてたのか」

 「全部じゃないけど流石にちょっと気になってね」


 どうやら霧子とルルリエは料理の手を止めて様子をうかがっていたらしい。

 そう言われると流石の蒼太にも少し罪悪感が湧いた。


 「まぁ……確かにちょっと大人げなかったかな……」

 「そうなのじゃ。仮にも神に対してちょっと不敬だと思うのじゃ」

 「うわっ!? なんでいるんだ!?」


 先程玄関前で聞いた声が聞こえたと思ったらその声の主であるけもみみ少女はすぐ後ろにいた。

 玄関のドアは閉まったままだし鍵はかかっている。

 一体どこから入ったと言うのか。


 「お? どうやって入ったのかと言う顔じゃな? ふっふっふっ……わしは神じゃぞ? 物の境界などあってないようなもの! この程度の壁抜けなど余裕のよっちゃんじゃよ!」

 「古い! それに不法侵入!」

 「良く考えたら神に法律などない! だから最初からこうしてればよかったのじゃ!」


 けもみみ少女はどや顔で腰に手を当てる。

 近くで見れば見るほどその耳と尻尾は本物に見える。

 もしかして本当にルルリエのような超常の存在なのだろうか。


 「……それで神様がなんのご用ですか?」

 「お主、わしが見えている事と言いその焦り様と言い……妖怪について何か知っておるな?」

 「よ、妖怪?」

 「とぼけるでない! その身から漂ってくる妖気こそ動かぬ証拠! いざ成敗!」

 「うわっ!? 何するんだ!?」

 「お兄ちゃん大丈夫!?」

 「なんなんだ……?」


 けもみみ少女は突然、腰から先にひし形の紙の束が数本貼られた棒を取り出すと蒼太に向けて振りかぶってきたのだ。

 何とか初撃を見切るがけもみみ少女は返す手でまた棒を振るう。


 「おのれ! 抵抗するでない!」

 「だから妖怪とか妖気ってなんだよ!?」


 誰だか知らない幼女に棒でたたかれる筋合いも趣味もない。

 何とかしたいが相手が相手故、手を出しにくい。

 蒼太が取るべき行動を決めかねているとルルリエが割って入ってきた。


 「そーた! この子、ちょっと変!」

 「変?」

 「この子、本(・)当(・)に(・)人(・)間(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)!」


 危機迫った様子のルルリエを見て蒼太はそれが本当の事なのだと理解した。

 つまりこのけもみみ少女は本(・)物(・)。

 ならば取るべき行動は一つ。


 「あーもう! 今日は一体何なんだ!?」


 蒼太は今日一日で起こった許容量を超える出来事の数々に悪態をつきながら奇跡を起こすための詠唱を始めた。


 「神の奇跡の代行者として命じる! 頭を冷やせ!」

 「ぬっ!? 効かぬわ!」

 「なにっ!?」


 手を突き出して霧子に使った水を出す奇跡を使ったがけもみみ少女の棒の一振りで防がれてしまう。

 だがそれは明らかに不自然な弾かれかたをした。

 まるでそこに透明な膜がはられたかのように棒程度では防げない面積に広がっていた水が散ったのだ。


 「やっぱり! 私と似たような存在なのだわ! この世界では普通なの?」

 「んなわけあるか……初めて見たよこんなの……」

 「ほう……この妖気の流れ……そっちの童女が本体か。大人しく成敗さるのじゃ!」

 「嫌だね。もう家族みたいなもんなんだ。そう簡単に渡せない」

 「そーた……!」


 保護を宣言する蒼太の声にルルリエは信頼を寄せた。


 (とは言ったもののどうしたもんか……)


 蒼太は考える。

 このけもみみ少女は先程の様子からルルリエを妖怪の類いであると思っているようでやる気満々だ。

 だがここは家の中。

 暴れたらそれだけ被害は自分に帰ってくる。

 何とか穏便に済ませたいが……。


 「そーた! このままじゃらちが明かないのだわ! そーた自身を強化して畳み掛けるのだわ!」

 「僕自身を強化?」

 「奇跡の強さは対象から近ければ近いほど強い! だからそれが最大効率なのだわ!」

 「わ、わかった!」


 蒼太は言われるがまま再び詠唱を始める。

 だが敵であるけもみみ少女が大人しく待っててくれるはずもない。


 「なにやら企んでおるようじゃがそうはさせん! てりゃー!」

 「うわっ!」


 けもみみ少女の振った棒が蒼太の腕に当たる。

 恐らく霊的な何かの力を持ったそれは蒼太からルルリエという存在を切り離し、浄化するものであったが――――。


 「へ……?」

 「……あれ?」


 何も起こらなかった。

 しかも幼女の力で振るわれた一撃なので大して痛くはない。


 「今なのだわ!」

 「……! し、身体強化!」


 意図せず生まれた一瞬の間に飛んだルルリエの指示を受け、いち早く我を取り戻した蒼太は願いを口にする。

 その願いは目の前の暴れる幼女を傷つけたくはないがどうにか大人しくさせたいと言うひどく曖昧な物だったが受理された。


 「ぬわぁ!?」


 けもみみ少女は蒼太の背中から突然生えてきた透明な腕によって押さえつけられた。

 しかしそこに暴力はなくエアーマットに包まれているかのように壁に貼り付けられている。


 「な、なんじゃあ!?」


 それでも指一本動かせない風圧にけもみみ少女は混乱する。


 「こ、これが奇跡……?」

 「私の本来の力なのだわ!」


 その光景を見て得意げに胸を張るルルリエ。

 これまでも不可解な現象は起こしてきたがこうも直接的でしかもこれが自分の背中から出ていると考えると蒼太は少し恐ろしくも思うのだった。

 これではまるで自分が化物の様ではないか、と。



一応最初の戦闘シーン。

奇跡本来の力お披露目回的な。

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