お買い物 あげいん
買い物と買い物が被ってしまった。
でもまぁ、多少はね?
その後、蒼太たちはちょっと遠出して大型ショッピングモールに来ていた。
「人多いなぁ……」
週末と言うこともあり、ショッピングモールの中は家族連れで賑わっている。
人混みが苦手な蒼太はその中を陰鬱な面持ちで足を引きずるように歩いていた。
「なに背中曲げてんの! シャキッとする!」
「うぐっ!? そうは言っても……人の目線感じるとこう、見下されてる気がして落ち着かないって言うか……」
霧子に背中を叩かれ姿勢をただした蒼太は口を尖らせて文句を言う。
「自意識過剰でしょ? それに見下されてたところで何よ? 堂々としてればいいじゃない」
「全くの正論でございます……」
反論の余地なく叩きのめされた蒼太は観念して言われた通り視線を高くすると心なしか少し自信がついた気がした。
「そーたそーた! ここは……ショッピングモールはスーパーの中にスーパーが入ってるの?」
やっと人並みに歩き始めた蒼太の服の裾を引っ張ってルルリエが聞いてくる。
その目は道のものに対する知的好奇心で輝いていた。
こうしてみると機械などではなく親戚の子供のようだ。
「スーパーと言うよりたくさんの色んなお店の集合体みたいなものかな? 取り合えず此処に来たら何でも揃う所だね」
「それは便利なのだわ!」
「先ずは服。その後食料品を買いにいくわよ」
「うぃ」
「はーい!」
放っておいたら迷子になりそうなくらい浮かれているルルリエとすたすたと歩く霧子にリードされて着いたのは――――。
「あっ……」
女物専門の下着売り場だった。
男性である蒼太には凄まじく居心地が悪い場所だ。
「どうしたの? 一緒に選ぶのだわ!」
「ちょっ、僕はっ……!」
入り口で留まっているとルルリエに手を引かれた。
その勢いで蒼太はたたらを踏みながら秘密の花園へ入店してしまう。
辺りに広がるピンクや白の柔らかそうな布の海。
一度入ってしまえばもう後戻りはできない。
蒼太は覚悟を決めてルルリエに最も似合う下着を見定めるため目を光らせた!
「何来てんのよ!」
「あふん」
そして霧子に足蹴にされた。
――――30分後。
道の中央のソファでいじけながらスマートフォンを弄っていた蒼太は下着売り場から出てきたルルリエと霧子に気がつき腰を上げた。
「遅かったね」
「女の子には色々あるのよ」
「見て見て! こんな可愛いの買ったのだわ」
「ちょっ! ルルちゃん!?」
よほど嬉しかったのかルルリエは蒼太に下着を自慢して見せた。
それは控えめな胸を柔らかくカバーするシンデレラバスト専用のふわりとしたデザインのブラとショーツのセットアップだった。
清楚さを感じさせる白いブラの中央に付けられた小さな赤いリボンが女の子らしさを出している。
良いチョイスだ。
「こんなところで出さないっ!」
「あっ……嬉しくてつい……」
霧子は慌てて興奮冷めやらぬルルリエの手を取って下着を仕舞わせる。
「うん……良い! 超かわいい!」
「帰ったらさっそく着てみるのだわ!」
その一瞬をスーパースローカメラの如く目に焼き付けた蒼太は感想をサムズアップという形で答えた。
そもそもルルリエが買ったものというだけで店頭に置いてあるものよりも価値が何倍にも膨れ上がっている。
そんな蒼太の様子を見て嬉しそうに飛び跳ねるルルリエに霧子は嘆息する。
「全く……着るのはいいけど一回洗ってから――――」
と霧子は言いかけて突然、後ろを振り向いた。
「……?」
蒼太とルルリエもつられて振り返るがそこには特別何もなかった。
造花の観葉植物と堅そうなソファが通路の中央に転々と並んでいるだけである。
「どうかした?」
「……いえ、何でもないわ。いこっ! お兄ちゃん!」
「え? あぁうん」
蒼太は霧子の様子に少し違和感を覚えたが気にするほどの事でもないと思い直し、ルルリエの手を握ると押し付けられた荷物を引っ提げて彼女の後をついて行った。
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「あ、危なかったのじゃ……」
蒼太たちが去った後、ソファ横の植木鉢の影から黄色のもふもふが顔を覗かせた。
「逃がしはしないのじゃ……」
先が白く雪を被ったようなそれは蒼太たちが先へ行ったことを確認するとその後をつけて行く。
物影から物影へ、見つからないように。
食料品は最後に買わないと荷物になるし要冷蔵あるからね!
進行度的には一つのピリオドまであと10話位かな……投稿スピードあげていこう。




