セトウチ転生録(サヌキ編)
本編と一切関係のない嘘八百の歴史と食レポです。ただし食べ物は実在します。
セトウチ世界の住人が稀に「日本」なる異世界に転生してしまうことがある。
彼らはセトウチで培った知識と転生特典を駆使して異世界・日本で奮闘した。
その結果、なんとセトウチ世界の食事は日本の瀬戸内と呼ばれる地域で実食できてしまうのだ!
転生者たちが何をしでかしたのか。
以下にその記録を残す。
1. うどん
日本での名称:讃岐うどん(香川県)
あるサヌキ王国のうどん子農家が日本で広めた。「うどんの気持ちになりきるんだ!」と茹で湯の温度を体で確かめるべく熱湯の中に飛び込んだ瞬間、気づけば日本に転生していた。
「生まれ変わってもうどんと一緒に……」と願い、好みのうどんを瞬時に打てるという転生特典を得る。地味な能力だが本人はいたく満足し、死ぬまでうどんを作り続けた。
さらに転生者は日本の食文化に感動し、食べ方のバリエーションを次々と生み出した。
熱い出汁をかけた「かけ」、冷たい麺に濃いめのつゆをぶっかける「ぶっかけ」、茹でたてを釜から直接すくう「釜揚げ」、そこに生卵を絡める「釜玉」。
サヌキ王国ではうどんしかなかったがゆえに食べ方も一通りだったが、日本の豊かな食材がうどんの可能性を爆発させたのだった。
2. 骨付バード
日本での名称:骨付鳥(香川県)
サヌキ王国の宮廷料理人が馬に轢かれて日本に転生。
転生特典を「サヌキ王国で高価だった胡椒を無限生成できるだって!?」と喜び勇んで選んだが、日本では胡椒はスーパーで198円で売っており号泣した。
しかし宮廷仕込みの腕は本物だった。胡椒を惜しみなく使い、鶏のもも肉を丸ごと豪快に焼き上げる「骨付鳥」の店を開業すると瞬く間に繁盛した。サヌキ王国では王族の催事でしか供されなかった味が、日本ではビール片手に誰でも楽しめる。
さらに宮廷料理人は「この国は調理に合わせて鳥の種類すら選べるのか!?なんて豊かな国なんだ!」と感動した。嬉しくなって片っ端から食べ比べた結果、二種類の骨付鳥が誕生した。
「親鳥」は噛むほど味が出る硬派な通好み、「若鳥」はジューシーで身が柔らかく万人向け。
皿に溜まった油にキャベツを浸すのが流儀となっている。
3. ウニホーレン
日本での名称:ウニホーレン(広島県)
ムラカミ帝国の皇帝付き料理人がウニを殻ごと食べようとして日本に転生。
転生特典は「ほうれん草の気持ちがわかる能力」
この能力により、「もっと生きたかった……」というほうれん草の断末魔を聞いて涙を流しながら調理していたという。
せめておいしく葬ってやろうと、彼はほうれん草を絶品のウニホーレンへと変えていった。
帝国では皇帝の歓待料理として国賓にしか出せなかった秘伝の一皿を日本の居酒屋で再現。広島県では生ビールと一緒に気軽に頼まれる。
バターの塩気ととろけるウニの甘みが口の中で手を繋ぐ背徳の味。カリカリのバゲットに乗せる食べ方も健在だ。




