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護国の英雄ケサランパサラン  作者: 敵機直上急降下


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東京初空襲

東京初空襲


 支那事変が泥沼化し、国民政府への支援を断つため仏印へ進駐し、日本は欧米から経済制裁を受け追い詰められ、対米英開戦に踏み切った。

 開戦劈頭の真珠湾攻撃で時間を稼ぎ、欧州で同盟国のドイツが英ソと戦っている間に、日本は破竹の勢いで東南アジアの欧米植民地を占領していった。


 米英蘭の植民地守備軍相手に連戦連勝の日本は、勝って兜の緒を緩めてしまっていたのか、1942年4月に本土空襲を許してしまうのだった。


 陸軍は海軍からの通報を受け、敵爆撃機警戒警報を出した。

 敵爆撃機の飛行高度は高いという情報により、低空で進入した敵爆撃機を味方機と誤認し混乱しつつも、高射砲部隊を始めとする防空隊は迎撃を開始した。その中に光毛玉を運用する高射隊も含まれていた。


 日本各地に分散配備されていた光毛玉は、敵爆撃機警戒警報を受けて戦闘配置に就いていた。

 そして、光毛玉の高射隊も他の高射隊と共に敵爆撃機への攻撃を開始した。


 指揮官の迎撃指示が下った後、光毛玉の高射隊は運用する兵士が目標を光毛玉に伝え、光毛玉に迷いや困惑などがない事を読み取り、そして「撃て!」の指示を出していった。


「ポッ」


 毛玉特有の半濁音の鳴き声と共に照射された光線は、数秒の照射時間で敵爆撃機の燃料槽を貫通しながら切り裂き、超高温の光線によりガソリンが瞬時に気化噴出し引火して爆発を起こした。

 防空戦闘開始後、光毛玉の射界に入り照準できた敵爆撃機は悉く撃墜したが、防空戦闘開始前に通過した敵爆撃機と光毛玉の高射隊が配備されていない地域を通過した敵爆撃機は取り逃がすことになってしまった。


 光毛玉は関東地方に多数配備されていたため、主に東京を目標としていたと思しき敵爆撃機5機を撃墜。さらに名古屋方面に来襲した2機を撃墜することに成功した。


 陸軍は今回の奇襲的な空襲に衝撃を受けつつも、一撃の下に敵爆撃機を撃墜した光毛玉の有用性を再確認できた。さらなる光毛玉の配備が決定し、大量の光毛玉の餌付け育成調教が加速することになった。

 海軍も陸軍が運用する光毛玉に着目し、海軍での導入が検討されるのであった。


 毛玉はまだまだ謎が多い生物で、毛玉の巣からどんなに連れ出しても、毛玉がいなくなることはなかった。

 具体的には、毛玉の巣の見える範囲の毛玉を全て連れ出しても、数分後にはまた沢山出てくるのである。ただし、人が見ている間は現れず、誰もいない間に出てくるのであった。


 光毛玉だけを連れ出しても同様に、誰も見ていない間に光毛玉が現れるのである。

 毛玉の種類ごとの分布は凡そ均等で、特定の種類が多くなることはなかった。


 陸軍は研究資料を基に、真っ白い毛玉を連れ出し、数分後にまた真っ白い毛玉だけを連れ出すという手順で光毛玉を確保していった。

 毛玉が極めて脆弱である事は判明しているため、扱いは慎重に行われた。


 東京空襲において、敵爆撃機とそれを追う迎撃機が光毛玉の射界に入り、光毛玉はどちらを攻撃すればよいか分からず困惑するという場面があった。

 光毛玉を運用する兵士が慎重に指示を伝えていたところ、横で焦っていた上官が早くしろと光毛玉に平手打ちを食らわせたのである。相手は巨大毛玉であるためふわふわとしており、平手打ちなど効果がないと思われていたが、その一発で光毛玉は消滅してしまったのであった。


 巨大になるまで育成調教してきた毛玉の強度が、一体どれ程のものであるか試されたことはなく、平手打ち一発で消滅するほど脆弱であったことが判明してしまったのである。

 また、困惑している光毛玉を叩いても何の問題解決にはならず、悪気も敵意もななかったとはいえ焦って叩くような兵士は、軍用動物を運用するのに不向きであるとされた。


 東京空襲での戦訓は他にもあり、光毛玉は一撃の下に敵爆撃機を撃墜できたため、高射砲とは異なる配置が考えられるようになっていった。

 重要拠点の防衛はもちろんであるが、光毛玉で弾幕を張るわけではないので、光毛玉用の陣地が多数分散設置されるようになったのだった。



 日本本土を初空襲した機体が米陸軍機のB-25爆撃機と判明し、陸軍機を空母から発艦した事が分かると、日本海軍はミッドウェー島を攻略し、米空母を誘引撃滅する作戦を立案。大本営海軍部もそれを認可し決行された。

 しかし、準備不足や陽動のため空母戦力をアリューシャン方面へ分散するなど、米空母は出て来ても数は少ないと高をくくって臨んだ結果、正規空母4隻を失うという大敗北を喫してしまうのだった。


 海軍は空母4隻を失ったものの、米豪遮断作戦を行うためソロモン諸島へと戦線を広げていった。

 戦線が広がったことで補給線が伸び、輸送船が米潜水艦や航空機に攻撃されることが増えていった。


 輸送船が沈められ補給が断たれると、島嶼での戦いでは致命的な打撃となる。しかし海軍は輸送船護衛を雑用と捉え嫌がり、潜水艦との戦いを魚釣りとまで言って忌避していた。

 そこで陸軍は、輸送船の防衛体制を独自に模索し、軍用動物である毛玉が何らかの役に立つのではないかと試行錯誤を始めるのであった。

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