表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミニチュア・ダンジョンスプラウト! 社畜の俺が死にかけ植物を育てたら、世にもレアな冥属性ダンジョンが生まれました  作者: 森月真冬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/54

月夜の露天風呂

 大浴場に人はおらず、貸し切り状態だった。

 内湯でじっくり温まってから、露天風呂へと移動する。

 空は綺麗な半月で、雲もなく辺りを金色の光で照らしている。


 お湯に浸かってボーっとしていると、カラカラと扉の開く音がして、誰かが入ってきたようだ。

 背後でチャポリと水音がなる。


「お、お邪魔しますね、玄さん」


「えっ! コロちゃん……?」


 振り向くと、そこにはお湯に入って微笑(ほほえ)むコロちゃんの姿があった。

 前髪を下ろしてピンで留めた、女の子モードだ。

 な、なんだろ。ポーズのせいかな?

 湯に透ける身体まで、心なしか女子っぽく見える。


「げ、玄さん。ちょっとお話いいですか? ボ、ボク、改めて玄さんにお礼が言いたくて」


「お礼? お礼を言われるようなこと、何かしたかな」


 俺が首を傾げると、コロちゃんはちょっと大きな声を出す。


「い、いっぱいしてますよっ! クローゼットもそうですし、旅行のこともそうです。狛犬の時もお金を貸してくれました。玄さんは、いっつも当たり前な顔して、ボクが嬉しいことをいっぱいしてくれるんです」


「そうか。まあ、気にしないでいいよ。俺が好きでやってんだからさ」


「ま、前にも一度、言いましたけど……。玄さんみたいに優しくて、頼りになるカッコいい大人。ボ、ボク……他に、知らないです……」


 目が合うと、コロちゃんは耳まで真っ赤になり、慌てたように視線を外した。

 俺は苦笑する。


「コロちゃん。君は俺を買いかぶりすぎだよ。俺、普段は会社でミスしてばっかでさ。しょっちゅう課長に怒鳴られてるんだぜ。ちっともカッコよくない」


「ち、違いますよ。カッコいい人って、何でもできる人じゃないと思います!」


 コロちゃんは、妙にキッパリとした口調で言う。


「失敗しても、誰かに怒られても、それでも人に優しくできる人。困ってる人を見たら、自分のことみたいに助けちゃう人。そういう人が、本当にカッコいいんです」


 夜風が、二人の間を静かに吹き抜けた。

 半月が湯面に映り、小さな波紋で揺れている。

 コロちゃんが口を開く。


「……あの、玄さん」


「ん?」


「も、もしよかったら……」


 コロちゃんは両手を胸の前でギュッと握り、小さく息を吸う。

 喉がゴクリと上下した。

 そして、意を決したように言葉を続けた。


「これからもずっと、ボクと仲良くしてくださいっ!」


 俺は一瞬キョトンとして、それから思わず笑ってしまった。


「なんだ、そんなことか」


「そ、『そんなこと』じゃないです! 真剣です!」


「ああ、ごめんごめん」


 俺は笑いながら、頷いた。


「もちろんだ。これからもよろしくね」


「……はい!」


 コロちゃんは、花が咲くような満面の笑顔になった。

 こんな笑顔が見られるなんて、旅はしてみるもんだなぁ。


「そ、それじゃボク、お先に失礼します」


 タオルで身体を隠しながら、コロちゃんは立ち上がる。

 なんだか、裸を見てはいけない気がして。

 俺は慌てて夜空を見上げた。やっぱり綺麗なお月様が、キラキラの光を振りまいていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ