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ミニチュア・ダンジョンスプラウト! 社畜の俺が死にかけ植物を育てたら、世にもレアな冥属性ダンジョンが生まれました  作者: 森月真冬


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十畳の大きさの宴会場にて

 温泉旅行のハイライトは、なんといっても風呂と飯だろう!

 まずはビールで乾杯だ。コロちゃんにはコーラである。

 こういう所のジュースって、瓶なのがいいんだよな。ペットボトルじゃ風情(ふぜい)がない。


 グラスは白く冷えている。

 お互いにビールを注ぎあい、「乾杯!」と言いながらカチリとぶつけて、一気に喉へと流し込む。

 冷たくてほろ苦いビールが、喉の奥でパチパチと弾け、風呂上がりの少し汗ばむ火照った身体にギュウウーっとしみ込んで……!


 くぅぅ~! これだよ、これ!

 キンッキンに冷えてやがるっ!!

 本場ドイツでは『ビールは冷やし過ぎると味がわからなくなる』なんて言われてるそうだが、やっぱり風呂上り一杯目のビールは、味も何もわからなくなるくらいにキンキンに冷えたやつじゃなきゃダメだ。


 夕食の(ぜん)は刺身盛り、茶わん蒸し、川魚の塩焼き、野菜の天ぷら、よくわからんゼリーみたいなの、椀物(わんもの)、なんかの果実酒、それと固形燃料がセットされた陶板(とうばん)である。

 蓋を開けて中を覗くと、なにやら真っ赤な獣肉と、斜めに切った長ネギがセットされていた。


「これ、なんだろ?」


 俺が何気なく呟くと、向かいの凛花がメニュー表らしき紙を手に言う。


「えーっと……イノシシの味噌焼きみたいです。この辺で獲れたイノシシだそうですよ」


「へえ。イノシシ肉なんて、初めて食べるぞ!」


 回ってきたマッチで固形燃料に火をつけて、「いただきます」と手を合わせ、いよいよ料理に箸を伸ばす。


 温泉宿って、なぜか山の中でも刺身が出るよなぁ。甘エビ、マグロ、白身はヒラメか……?

 塩を振ったイモ天とアスパラは、ビールによく合う。かき揚げとナスは天つゆで食べよう!

 ゼリーみたいなのは、梅の香りがする……歯応えからして寒天寄せだな。

 川魚は鮎か! 俺は鮎は小骨を取らずに、ボリボリ食っちゃうタイプだな。

 茶わん蒸しにはシイタケと鶏肉にカマボコ。底に沈んだ銀杏(ぎんなん)が酒飲みには嬉しい……。

 椀物は三つ葉と生麩(なまふ)の澄まし汁。生麩って日常生活だと、なかなか食べる機会がない。


 おっと、陶板がグツグツ鳴ってる! 蓋を取ると、湯気と味噌の焦げる香りがフワンと広がる。

 もう肉にも十分に火が通ったろう。一枚とって口に入れると……こ、これは酒よりご飯の味だぞ。

 おひつの(そば)のみのりに頼んで、白飯を一杯よそってもらう。


 さっそく味噌焼きでご飯をかっこむと、思った通り相性バッチリ!

 イノシシの肉は豚肉よりもやや硬くて旨味が強く、脂が甘くて香りがいい。

 そして味噌には、ニンニクと生姜(しょうが)が混ぜてある。

 こいつは味噌版のスタミナ焼きだな。


 肉を食って、米を追っかけ、よく噛んで味わって飲み込む。

 合間、合間にビールでしつこさを洗い流し、クタクタになったネギも残らず拾い、果実酒(ユズ酒だった)はデザートにいただいた。

 仲間との談笑も盛り上がり、美味い飯をたらふく食って、俺は満ち足りた気分で食事を終えたのだった。




 部屋に戻る途中で、コロちゃんがいないことに気付く。

 剛に尋ねると、売店でご当地もののガチャガチャを見つけて回しにいったそうだ。

 部屋に入ると、剛が半裸になってスクワットを始めた。


 なんだろう。部屋の温度が3℃くらい上がった気がする……。

 俺は慌ててタオルをひっつかむと、「風呂に行く」と言い残して部屋を出た。

 途中で売店を覗くが、コロちゃんの姿はない。


 もう、ガチャをやり終えたのだろうか?

 ガチャガチャ機は四台あったが、ご当地ものはひとつだった。『ちえのわチワワ』というキャラクターで、金属の輪に絡みつかれたチワワが困った顔をしている。

 温泉バージョンらしく、頭にタオルを乗せたり、火照った顔で牛乳を飲んだり、手には木桶を持ったりしていた。


 なんとなく、スマホで検索してみる。


『ちえのわチワワ』


・金属の輪に絡みつかれて不自由な生活を強いられてる

・いつも困った顔をしている

・好物はホットミルクとプレッツェル

・趣味はミステリードラマの鑑賞だが、途中で寝てしまうため犯人がわからない

・知恵の輪が解けると「ワンダフル!」と叫んで笑顔になる

・しかし三十分後にはまた輪が絡みついている


 うーん。なんだか不幸なキャラである。

 コロちゃんは、これが欲しかったんだろうか?

 おっさんにはいまいち良さがわからない。

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