第258話:狙撃! 星屑の浄化砲
高度一万二千メートル。雲海を遥かに超えた暗黒の領域。
目の前に立ちはだかるのは、城ほどもある巨大な漆黒の岩塊——『黒蝕の彗星片』だ。表面を蠢く毒々しい紫色のオーラが、キャンピングカーに襲いかかろうと触手のように蠢いている。
「ひえぇぇっ! 近くで見るとデカすぎじゃない!?」
「ひるむなルナ! セリス、聖魔力チャージだ!」
「はいっ! 聖なる光よ、全てを祓い給え——!」
セリスが祈りを捧げると、車内のメインコンソールが眩い純白の光で満たされた。装填された聖水カートリッジが激しく共鳴し、プラネタリウムクリスタル天窓に幾重もの多重魔法陣が描き出される。
『コアターゲット捕捉。修正角、右二・八度。重力波周期と同調——カウントダウンを開始します』
ナビの冷静な機械音が、緊迫した車内に響く。
アナが天窓にしがみつき、目を限界まで見開いて叫んだ。
「三、二、一……今よ! 彗星片の核が開いた! 撃ってぇぇぇ束!!」
「いっけぇぇぇぇぇ!!!」
ユウが発射ボタンを力任せに押し込んだ!
——ズドォォォォォォンッ!!!!
キャンピングカーの全出力とオリハルコンフレームの共鳴が、空間を激しく震わせた。
プラネタリウムレンズの焦点から解き放たれたのは、青と白の幾何学模様を纏った、径数十メートルにも及ぶ極太の超高エネルギー極光波——主砲【星屑の浄化砲】だ!
闇を切り裂く聖なる光線は、一直線に黒蝕の彗星片の真っ只中へと突き刺さった。
ギュオォォォォン……ッ!
黒紫色のオーラが悲鳴のような音を上げて打ち消され、光線は寸分の狂いもなく、彗星片の核を過たず貫き通した。
次の瞬間、巨岩の内部から幾重もの光の亀裂が走る。
——ドドォォォォォンッ!
大爆発と共に、星空を覆っていた黒蝕の彗星片は、粉々に粉砕されたのだった。




