第246話:スカイデッキの雲海BBQ
「ガハハ! 異世界の無礼者と決めつけて悪かったな、ユウ殿! こんな素晴らしい甘味を作る者に、悪人はおらん!」
口のまわりに真っ白なホイップクリームをつけたドラグが、手のひらを返して豪快に笑った。
すっかり打ち解けた僕たちは、キャンピングカーの屋上にある『スカイデッキ』を開放し、竜騎士たちを招いて和解の祝宴を開くことにした。
目の前には、どこまでも広がる白銀の雲海と澄み渡る蒼穹。
「よし、本日のメインイベント! 雲海絶景BBQを開始するぞ!」
僕の掛け声とともに、ツムギが最新の無煙炭火バーベキューコンロをセッティングした。
ネットスーパーから召喚した特選和牛の厚切りサーロインステーキ、骨付きカルビ、そして天空都市の港で譲り受けた新鮮な天空魚をコンロの網の上にずらりと並べる。
ジュゥゥゥゥーーーッ!
香ばしい脂の弾ける音と、醤油ベースの特製ニンニク生姜タレが熱せられた香りが、雲海の冷涼な風に乗って一気に広がる。
「うおおっ!? この肉と魚の焼ける香ばしい匂いは……たまらん!」
「匂いだけでお腹が鳴ってしまうぞ!」
竜騎士たちが身を乗り出し、喉をゴクリと鳴らす。
「焼けましたよ! 焼き立て熱々を召し上がってください!」
熱々のサーロインステーキを網から下ろし、大皿に盛って手渡す。
ドラグが特大の肉を大きな口で豪快にかぶりついた。
じゅわぁぁぁぁ……っ!
「ぐはっ……! 柔らかい! 肉汁が口の中で暴れ回っておる! この濃いタレと肉脂の旨味……酒が、酒が欲しくなるぞ!」
「あはは、ちゃんと冷えたビールもあるよ!」
ルナがネットスーパーで冷やしたキンキンに冷えた缶ビールを手渡すと、ドラグはプシュッと開けて一気に飲み干し、「ぷはぁぁぁっ! 最高じゃあっ! こんな美味い酒と肉は生まれて初めてだ!」と絶叫した。他の竜騎士たちも、「隊長ズルいぞ!」「我らにもビールを!」と大賑わいを見せる。
「わらわの分の肉も残しておけよ、ドラグ!」
「ララも天空魚食べるー! 美味しいー!」
ソフィアも楽しそうに特製フルーツジュースを手に笑う。ポチもホタルも嬉しそうにデッキを駆け回っていた。
澄み切った青空とどこまでも続く白銀の雲海を眼下に見下ろしながら、僕たちの賑やかで最高な天空BBQは、星がキラキラと煌めく美しい夜まで続いていくのだった。




