第239話:聖なる浄化と活力スープ
寄生魔樹の核から吐き出された無数の黒いツタと瘴気が、津波となってキャンピングカーへ襲いかかる。
「セリス、障壁頼む!」
「はいっ! 聖なる光よ……黄金のハニカム障壁、全開展開!」
セリスが聖女の祈りを捧げて両手を掲げると、キャンピングカーの前面に眩い黄金色の六角形結界が多重に展開された。
ドガガガガッ! と黒いツタが猛烈な勢いで衝突するが、聖なる光の前にツタはジジュウッと激しい煙を上げて焼き尽くされていく。
「ナビ、ウォーター・キャノン発射シークエンス!」
『了解。高圧聖水流、ターゲットにロックオン。照射開始します』
キャンピングカーの上部要塞砲塔から、セリスの浄化魔力を高濃度で練り込んだ高圧水流が射出された。
ザザーーーッ! と激しい聖水流が寄生魔樹の赤黒い核を直撃し、こびりついた邪悪な瘴気が一気に洗い流されていく。
「いまです、ユウ様! 仕上げを!」
ツムギがネットスーパーの最高級薬膳食材――高麗人参、蜂蜜、冬虫夏草、秘伝の和風出汁、そして世界樹の麓で採れた湧き水を大鍋で極限まで煮詰めた『特製世界樹活性スープ』を掲げた。
「ウォーター・キャノンの給水ラインにスープを接続! 一気に注入するぞ!」
『給水ライン切り替え完了。薬膳活性スープ、全開噴射』
ドバババババッ!
濃厚な生薬と出汁の豊かな旨味の香りを放つ黄金のスープ水流が、寄生魔樹の核と世界樹の幹の傷口へと直接注ぎ込まれた。
「ギャアァァァァッ!?」
寄生魔樹は薬膳活力スープの凄まじい栄養と聖なる浄化成分の濁流に耐えかね、苦悶の悲鳴を上げながら瞬く間にチリとなって消滅していった。
同時に、スープの超絶な栄養分を吸い上げた世界樹の幹が、まばゆいばかりの鮮やかなエメラルドグリーンの光を森全体へ向けて放ち始める。
「見て! 世界樹の葉が戻っていくわ! 森が息を吹き返していく!」
ルナが窓の外を指さして大喜びで歓声を上げる。
枯れて舞い落ちていた葉が一瞬で瑞々しい青葉を取り戻し、世界樹の森全体に清らかで豊かな温かい風が吹き抜けていった。
「世界樹様が……世界樹様が息を吹き返した……っ!」
必死に樹上まで追いついてきたシルフィたちが、光り輝く世界樹を見上げて感動の涙を流す。
キャンピングカーの圧倒的な性能と僕たちのチームワークによって、世界樹の危機は完全に去ったのだった。




