第222話: 拒絶の門を穿て!
「うわっ、なんだ!?」
ユウが叫んだ瞬間、鈍く光っていた巨大な門の幾何学紋様が、突如として禍々しい赤色に染まった。
キィィィンという耳を劈くような高周波音が鳴り響き、門の表面に無数の魔力光が集束していく。
『警告! 門の防衛機構がアクティブになりました。高エネルギー反応、来ます!』
ナビの警告と同時に、門の数箇所から極太の赤い熱線――魔力レーザーが射出された。
まっすぐにキャンピングカーを狙って放たれた光条に対し、助手席のセリスがすかさず右手を突き出す。
「ハニカム結界、展開!」
キャンピングカーの前面に、何重もの光り輝く正六角形の防壁が現れる。
衝突した熱線が激しい火花を散らし、結界の表面を激しく揺らした。キリキリと魔力が削られる音が車内まで伝わってくるが、結界は破られない。
「セリス、大丈夫か!?」
「はい! ですが、長くは持ちません! この門をどうにかしないと!」
セリスが額に汗を浮かべながら応える。
「よし、力押しでいくぞ! ナビ、重機モード・ドリル仕様に変形だ!」
『了解です、マスター! 変形シーケンス、スタート!』
ユウがコンソールパネルの黄色いスイッチを叩く。
キャンピングカーの車体が激しく唸りを上げ、フロントバンパーが左右に割れて、その中央から巨大な二重螺旋のドリルがせり出してきた。車体の各部には頑丈なアウトリガーが展開し、地盤に深く突き刺さって車体を固定する。
『変形完了! ですがマスター、相手は神代の超合金で作られた門です。通常の魔力ドリルでは貫通までに時間がかかりすぎます!』
「なら、積んであるオリハルコンを使う!」
ユウは後部荷台に積まれたオリハルコン原石に手を伸ばした。
「ナビ、原石から漏れ出ている魔力エネルギーを一時的にドリルへバイパスしろ!」
『なるほど、魔力共鳴ですね! 無茶を言いますが、やってみせます! 共鳴接続、開始!』
ナビの演算により、後部からドリルへと見えない魔力の奔流が繋がれた。
ドリル全体が眩いばかりの青白い電光を帯び、超高速で回転を始める。空間が震えるほどの駆動音が響き渡った。
「セリス、結界を解除してくれ!」
「わかりました! ……ハッ!」
セリスが結界を消した刹那、ユウはアクセルペダルを床まで踏み込んだ。
キャンピングカーが猛然と突進し、超高速回転するドリルが拒絶の門のど真ん中に激突する。
凄まじい金属摩擦音と、飛び散る火花が暗闇を昼間のように照らした。
神代の門が軋み、亀裂が走る。オリハルコンの力を得たドリルは、神代の硬度すら凌駕していた。
「おおお! いけえええっ!」
ユウの叫びと共に、ドリルが門を完全に貫通した。
バリバリと音を立てて門が粉砕され、キャンピングカーは勢いよく大迷宮の内部へと突入した。
背後で崩れ落ちる門の音を聞きながら、一行は冷たい空気の漂う通路を進み始めた。




