第220話: レアキノコとすき焼きパーティー
危機が去った最深部で、ユウたちは目的の「オリハルコン原石」を無事に採掘した。鉱山都市を救ってくれたお礼にと、ドワーフの鉱山長から贈られたのは、驚くほど巨大な木箱だった。
「これは『地底マツタケ』と呼ばれる、我が街の最高峰のレアキノコじゃ! これ以上の馳走はない。持って行ってくれ!」
ユウたちは大喜びで受け取り、キャンピングカーへと戻った。
無事に課題をクリアした祝勝会として、ツムギが『和室・コタツモード』を起動した。車内に現れたのは、畳の香りが漂う和室と、温かいコタツだ。地底の冷気が少し残る中、コタツの温もりは体に染み渡る。
ツムギはすぐさまネットスーパーの端末を開き、極上の霜降り牛肉、白菜、ネギ、焼き豆腐、そして糸こんにゃくを注文した。
「さあ、今夜はすき焼きパーティーです!」
ツムギが醤油とみりん、砂糖を合わせた割り下を南部鉄器の鍋に注ぐと、ジュワッと香ばしい甘辛い匂いが立ち上った。
薄切りにした霜降り牛肉をさっと焼き、そこへスライスした地底マツタケを投入する。
途端に、これまでに嗅いだことのないような、大地の芳醇で濃厚な香りが部屋いっぱいに広がった。
「うわぁ……! お肉がすっごく柔らかい!」
ララが溶き卵にくぐらせた牛肉を頬張り、幸せそうに頬を緩めた。
「この地底マツタケというキノコ、凄いな。シャキシャキとした歯ごたえと、噛むたびにあふれる旨味が、甘辛い割り下と牛肉の脂に完璧にマッチしている」
ユウも箸を進めながら感嘆の声をあげる。ルナやセリス、ソフィアも競うように鍋を囲み、ナナも「栄養素の吸収効率も非常に高い食材ですね」と微笑みながらすき焼きを堪能していた。
コタツの端には、青白い光をまとったナビがホログラムでちょこんと座っていた。物理的な肉体を持たないナビは食事をすることはできないが、膝の上に投影した分析パネルをのぞき込んでいる。
「ユウ様、採掘したオリハルコンの成分分析が完了しました。これでキャンピングカーのフレーム補強は完全に実行可能です」
「ありがとう、ナビ。ナビのルート案内と分析がなかったら、ここまで無事にオリハルコンを手に入れることはできなかったよ。本当に感謝してる」
ユウが笑顔で冷たいお茶のグラスをナビに向けると、ナビは嬉しそうに目を細めた。
「どういたしまして。皆様の嬉しそうな表情と、キャンピングカーのアップデートデータがあれば、私にとってこれ以上の報酬はありません」
コタツを囲む和気藹々とした笑い声が、地底の暗闇を優しく照らすキャンピングカーの窓から、静かに漏れ出していた。




