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追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


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第201話: 強襲要塞の防御壁

 スチームガルドの下層区を包み込む凍てつく闇の中、規則正しい駆動音と、雪を踏みしめる重金属の足音が響き渡る。

 路地の先から現れたのは、赤く不気味に発光する単眼の光学センサーを持つ、人型の自律警備機械兵たちだった。その数は数十。右腕に換装された魔導レーザーライフルが、ギギギと嫌な作動音を立てて僕たちのおでん屋台へと狙いを定める。


『エラー原因の特定を完了。有害快楽物質(おでん)の排除を開始する。対象ユニットは速やかに投降し、強制解体を拒否せよ』


 感情を一切持たない合成音声がスピーカーから鳴り響き、同時に無数の赤い照準レーザーが、キャンピングカーのボディと、おでんを頬張る労働者たちに照射された。

 労働者たちが「ひっ……!」と息を呑んで頭を抱える。だが、僕たちに慌てる様子は一切なかった。


「ナビ、防御シールドの展開を。最大出力で頼む」

「了解しました、マスター。強襲要塞モード用『複合多層魔力障壁』を展開します」


 ナビの涼しげな声が響いた瞬間、停車中のキャンピングカーから強固なアンカーが地面へと打ち込まれ、車体を完全に固定する。それと同時に、半透明のハニカム状をした黄金色の結界が、屋台と労働者たちをすっぽりと覆うように出現した。


「皆様の美味しいお食事のお邪魔はさせません! 聖なる光よ、守りたまえ!」


 セリスが優しく微笑みながら、祈るように両手を重ねる。彼女から放たれた極光の魔力がナビの展開した障壁に吸い込まれ、物理結界と光属性の魔法結界が完璧に融合した。

 直後、機械兵たちの銃口から、鋭い赤いレーザー光弾が一斉に掃射された。


 ドバババババン! と激しい炸裂音が路地裏に轟き、辺りの積雪が激しく吹き飛ぶ。

 だが、弾丸や熱線は、僕たちの数メートル手前で完全に静止していた。黄金のハニカム障壁が、レーザーの熱エネルギーを霧散させ、物理的な衝撃を全て地面へと逃がしているのだ。

 結界の内部には、心地よい静寂だけが保たれていた。

 外は赤と黒の無機質な戦闘の光景。しかし、ビニールカーテンの向こう側は、赤提灯の温かいオレンジ色の光に満ち、おでん鍋から立ち上る鰹と昆布のダシの香りがふわりと漂っている。


「ほえぇ……何一つ、衝撃すら来ないでござる。やっぱりユウ殿の車はすごいのう」

「当然じゃ。わらわたちが誇る移動宮殿に、あの程度のオモチャの光線が通じるわけなかろう」


 ツムギが感嘆の声を漏らし、ソフィアはコタツの中でみかんの皮を剥きながらフフンと胸を張る。

 防壁の外側では、機械兵たちが「障壁の突破率0%。物理法則に反する強度」と戸惑うようなシステム警告を鳴らし合っていた。

 冷たい風がカーテンを揺らそうとするが、結界が完璧に風を遮断しているため、屋台の周囲だけが、この凍てつくディストピアの中で唯一、信じられないほど暖かで穏やかな異界と化していた。

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