SS: 世界一の贅沢者たち(ルナ視点)
「ん〜〜っ……! 極楽だねぇ、こりゃ……」
美食都市グルメンティアのはずれ、星の綺麗な丘の上に停めたキャンピングカーの中で。
アタシは今、ツムギが作ってくれた特製の祝賀ディナー(世界三大珍味フルコース)でパンパンになったお腹を抱えながら、ホテルのスイートルームよりもフカフカのベッドにダイブしていた。
「ルナよ、お主だけズルいぞ! わらわもその全自動マッサージ機で、今日のお子様ランチの消化を促したいのじゃ!」
「やーだね! アタシが先! ソフィアはさっきまでずっと入ってたでしょ!」
キャンピングカーのリビングでは、大賢者のソフィアと、獣人のララが、最高のベッドとマッサージ機を巡って平和な口喧嘩をしている。
セリスは、ナビ(ホログラム)に紅茶の淹れ方を教わっているし、ユウは運転席で、明日どこへ行くかをのんびりと地図で探している。
「……ほんと、アタシたちは世界一の贅沢者だよね」
盗賊として世界中をフラフラしていた頃のアタシなら、こんな穏やかな夜が来るなんて、信じられなかっただろう。
伝説の宝物だの、世界の命運だの、そんなものは今の私たちにはどうでもいい。
ただ、気心知れた仲間たちと一緒に、美味しい飯を食って、最高の車でふかふかのベッドに眠る。
これ以上の幸せが、この世界のどこにあるっていうんだ。
「ユウ! 明日はもっと遠くに行こう! アタシ、西の大陸の果ての港町で食えるっていう『幻の巨大マグロ』ってやつが食ってみたい!」
「マグロ? いいね、ツムギのお寿司が食べられそうだ。ただ、キャンピングカーであの険しい山脈を越えられるかが問題だな」
「平気平気! ユウのマイホームスキルで道を作っちゃえばいいんだよ!」
「簡単に言わないでよ……」
笑い合う声が、車内に響く。
アタシたちの気ままなスローライフ旅は、これからもずっと続いていく。
そしてアタシは、この旅が一日でも長く続くように、ずっとユウの側で剣を振るうだろう。
……まずは明日、美味しい朝ごはんを腹いっぱい食べるところからだけどね!




