第180話: 終わらないグルメ旅
食の祭典から明けて翌日の夕方。
僕たちは美食都市の喧騒から少し離れた、見晴らしの良い丘の上にキャンピングカーを停めていた。
オーニング(日よけ)を広げ、アウトドア用のテーブルと椅子を並べる。
そしてテーブルの中央には――昨日の優勝賞品である最高級食材『三大珍味』をふんだんに使った、ツムギ渾身のフルコースが並べられていた。
「さぁみんな! 大会優勝と、これからの新しい旅に……カンパーイなんよーっ!!」
「「「カンパーイ!!!」」」
夕日に染まる丘の上に、僕たちの明るい声とグラスの音が響き渡る。
「くぅ〜っ! 大会で優勝してもらった食材を、その最高の調理器具で作って、こんな絶景で食べる……本っ当に最高だね、ユウ!」
「うむ。おまけに、この『世界樹の蜜』を使ったタルトの美味さたるや。大賢者であるわらわも、あと数百個は軽く入るぞ」
「ユユー、ララもお肉のおかわりー!」
「ソフィア様、お腹を壊しますよ。ララちゃんも、お肉ばかりではなくお野菜も……」
ルナがビール(ネットスーパー産)を煽り、ソフィアがデザートを抱え込み、ララが尻尾を振りながら肉を頬張り、セリスがお母さんのようにそれをたしなめる。
キャンピングカーの横では、新しい魔導調理器具(炎の出力が自動調整されるフライパンなど)を手に入れて絶好調のツムギが、「次はアレのお取り寄せをお願い! 新しいメニューを思いついたけん!」と満面の笑顔でコンロに向かっている。
「……うん。やっぱり、この旅は最高だ」
僕は、一人温かいお茶(高級日本茶)をすすりながら、大切な仲間たちの笑顔を見渡した。
ヤマトの大決戦のようなシリアスな戦いも、時にはあるかもしれない。
でも僕たちの旅の根本は、いつだってこの「キャンピングカー」と「美味いご飯」、そして「平和なスローライフ」にある。
手に入れた最強のキッチンと最高の食材。そして、僕がいつでも呼び出せる『ネットスーパー』の力。
異世界を駆け抜ける、僕たちの果てしない「自由と食欲のグルメ旅」は、これからもずっとずっと続いていくのだ。
西の空に沈んでいく美しい太陽を眺めながら、僕は大きく伸びをした。
さて、明日はどこへ行って、何を美味しいものにして食べようか。
僕の頬は、自然とニヤケっぱなしになっていた。




