第172話: 食の祭典と幻の優勝賞品
大型馬車用の広場にキャンピングカーを停めた僕たちは、さっそく街の中心部にある巨大なコロシアム風の広場へと向かった。
そこには『食の祭典』の出場受付と、大会の概要を記した巨大な立て札があった。
「ええと……『予選は屋台での売上勝負、本戦はコロシアムでの直接対決。誰でも参加可能。そして栄えあるグランプリ(優勝者)には――』」
立て札を読んでいたルナが、ピタリと声を止めた。
「『名誉ある称号のほか、グルメンティア秘蔵の【世界三大珍味の詰め合わせ】および【伝説の魔導調理器具セット】を贈呈する】……だってさ」
「せ、世界三大珍味!! しかも伝説の調理器具!!」
ツムギが両手で頬を押さえ、昇天しそうな顔で叫んだ。
「ダメなんよ、師匠! これ絶対に参加しないとダメなんよ! ウチ、その三大珍味がどうしても見たい! いじり倒して最高の料理にしてみたいけん!」
「わ、わかったわかった! 落ち着いてツムギ!」
僕はツムギをなだめつつ、少し考えた。
僕たちの旅の目的は世界を救うことではなく、「美味いものを食べてのんびりスローライフを送る」ことだ。
だとしたら、最高級の料理人が集まる大会で頂点を取り、世界最高の食材をゲットしてキャンピングカーで食べる……これほど僕たちの旅の目的に合致したイベントもないだろう。
「よし。世界一の美食都市で、ヤマトの天才シェフと僕のネットスーパーがどこまで通用するか……いっちょ試してみようか!」
「わふー! ユウ、いっぱいお料理するの? 라라、いっぱい食べる係で参加するー!」
「うむ。わらわも味見役として全面協力しよう。もし審査員とやらが不正を働いたら、重力魔法でペシャンコにしてやるからの」
ララとソフィアが(少し方向性はズレているが)やる気満々で同意する。
「ソフィアちゃん、平和な料理大会だから魔法で脅すのは禁止だよ?」
僕は苦笑しながらも、受付の係員に声をかけた。
こうして僕たち一行は、世界中の名だたる料理人たちに混じり、『食の祭典』へとエントリーを果たした。
第一の関門である予選のテーマは『大衆の胃袋を掴め! 屋台グルメ売上勝負』。
異世界の舌に、僕たちの『現代チート屋台飯』が火を吹く時が来た。




