SS: 護るべき平和な日常(セリス視点)
満天の星空の下、豊穣の森のキャビアを満喫した私たちは、キャンピングカー(今や高級ホテルのようです)のリビングでくつろいでいました。
「セリス、白ワインのおかわりいる?」
「……はい、少しだけいただきます。ありがとうございます、ユウ様」
ユウ様からグラスを受け取りながら、私は車内を見渡しました。
ソフィア様は魔法で冷やしたキャビアを少しずつつまんでご満悦の表情。ルナさんとララちゃんは、マッサージ機の上で気持ちよさそうに丸まって眠ってしまっています。
ツムギちゃんはまだキッチンで、「明日の朝はキャビアのサンドイッチやね!」と楽しそうに仕込みの真っ最中です。
「……平和ですね」
思わず、そんな言葉がこぼれました。
聖騎士として魔王と戦うために旅をしていた頃の私には、こんな風に『明日の朝ごはん』を無邪気に楽しみにしながら眠りにつく夜が来るなんて、想像もできませんでした。
「そうだね。ヤマトでの一件も無事に終わったし。これからは、こんな風に美味しいものを探して、のんびり旅を続けたいな」
ユウ様が、窓の外の星空を見上げながら優しく微笑みます。
その横顔を見て、私は胸の奥がキュンと温かくなるのを感じました。
世界を救う英雄だとか、偉大な大賢者だとか、そんな肩書きは今の私たちには必要ありません。
ただ、みんなで一つの食卓を囲み、「美味しいね」と笑い合う。
この豊穣の森で見つけた一番の宝物は、キャビア・スライムでも霜降り肉でもなく、この『平和な時間の尊さ』そのものなのだと、私は思いました。
「……ユウ様。この心地よい旅がずっと続くよう、私も及ばずながら、微力でも皆様をお護りいたしますね」
「セリス……ありがとう。でも、一番必要なのは味見役だからね?」
ユウ様の冗談に、私は少しだけ声に出して笑いました。
明日はどんな美味しいものに出会えるでしょうか。神様、この幸せな旅路にどうか加護を。




