SS: 至高のデザートと大賢者(ソフィア視点)
「……ふむ。これは、良き森じゃな」
わらわは、キャンピングカーのリビングにある専用の定位置(フカフカのソファの中央)に深く腰掛けながら、心からの称賛をこぼした。
豊穣の森――外界の者たちにとっては攻略の難しい特異なダンジョンらしいが、わらわたちにとってはただの『巨大な冷蔵庫』である。
「ソフィアちゃん、食後の特製フルーツ・タルトのおかわり、いるんよ?」
「おう! 寄越すがよい!」
ツムギが運んできたタルトには、先ほどわらわが重力魔法でもぎ取った『フルーツ・トレント』の果実が山のように盛られている。
この果実、素晴らしいのはその味だけではない。魔力を豊富に含んでおり、食べれば食べるほどにわらわの魔力庫が全盛期の輝きを取り戻していくのだ。
「ユウよ、この森は素晴らしい。ヤマトでの激戦の疲れなど、この美味なる果実を前にしては消え去るというもの……むぐむぐ。うむ、この黄色い実はマンゴーのような味がするぞ」
「はいはい、食べこぼさないようにね。ソフィア、最近ちょっと食べすぎじゃない?」
「はっ! わらわのような完成された大賢者の肉体に、贅肉などつくはずが……」
言いかけて、わらわはそっと自分のお腹のあたりを撫でた。
……む? 少し、ローブの帯がキツくなっているような……?
いやいや、気のせいじゃ。これは魔力が充実し、大賢者としてのオーラが増した結果に違いない。
「……ツムギよ。明日の朝は、この果実の中身をすりつぶして『じゅーす』にしてくれぬか? 魔力効率がさらに良くなりそうじゃ」
この走るホテルに乗ってからというもの、わらわの威厳が少しずつ削られているような気がしないでもないが……まぁよい。
美味しいご飯と食後のデザート、そして極上のマッサージャーがある今の生活は、過去のどんな栄華よりも、間違いなく『最高』なのだから。




