第144話: 次の目的地は『世界一の厨房』
大宴会からさらに数日が経ち、王都の復興もだんだんと軌道に乗り始めた頃。
僕たちは「ユウの村(開拓地)」のキャンピングカーのリビングに集まり、今後のルート会議を開いていた。
「さて。ヤマトの脅威も完全に消え去ったし……そろそろ、僕たちは次の目的地に出発しようと思うんだけど」
僕が切り出すと、ルナやララ、セリスも「うんうん」と頷いた。ソフィアは相変わらずソファで昼寝している。
問題は、「どこへ向かうか」だ。
「師匠! ウチ、どうしても行ってみたかった場所があるんよ!」
勢いよく手を挙げたのは、専属シェフのツムギだった。彼女の瞳が、いつになくキラキラと輝いている。
「このヤマトから海を越えてずっと西……大陸の中央にある大きな国に、『美食都市グルメンティア』っていう街があるんよ。ウチの昔の親方(良い人だった方)が言ってた。そこには、世界中のありとあらゆる食材と、魔法みたいな料理を作る天才たちが集まってるって!」
「へぇ! グルメンティア……『世界一の厨房』とも呼ばれてる街だね」
ルナが身を乗り出してくる。
「アタシも噂に聞いたことあるよ! なんでも、その街の料理人は貴族よりも権力があって、『食の祭典』で優勝したヤツには、国王から世界一の高級食材セットと莫大な賞金が贈られるとか……」
「せ、世界一の高級……っ!?」
僕の脳内に、霜降りの超絶美味しいお肉や、見たこともないレアフルーツの姿がよぎった。
「ユウ様、ヨダレが……。でも、いろんな国のご飯を知れるのは、とっても素敵なことだと思います!」
セリスも嬉しそうに微笑んでいる。
ヤマトに引きこもって温泉三昧も良いけれど、それでは『キャンピングカーでのスローライフ』にならない。せっかく無敵のキッチンがあるのだ。美味しいものを探しに行くのは必然といえる。
「よし、決まりだ! 次の目的地は、美食都市グルメンティア! 最高の食材を満載して、ツムギに世界一の料理を作ってもらおう!」
「おーっ!!」
ララとツムギの声が重なり、リビングに歓声が響く。
「……ふぁぁ。わらわの睡眠を妨げるのは誰じゃ。……む? 美味いものの話か。ならば仕方あるまい、連れて行ってやろう」
目を覚ましたソフィアも(上から目線で)賛同してくれた。
これで僕たちの次なる目標「食の探求旅」が決定した。あとは、この美しいヤマトの国との「お別れ」を残すのみだ。




