SS: いつか見せるべき青空(カエデ視点)
「ユウ殿ぉぉっ!!」
私は、晴れ渡った青空の下、大きく手を振っていた。
無事に全てが終わり、キャンピングカー――ヤマトの最強の『動く修験場』にして、私にとって最も心強い仲間たちが乗るお城が、ゆっくりと遠ざかっていく。
本当について行きたかった。彼らと一緒に、またあの騒がしくて、美味しくて、そして最高に心安らぐ旅を続けたかった。
……けれど、私には残る理由があった。
このボロボロになったヤマトの王都・キョウ。ここには、エチゴヤや関白ドウサンのような『悪』によって虐げられ、今日を生きるのに必死な民が大勢いる。
領主である父、ゲンサイの名代として。そして何より、ユウ殿たちから「本当の国のあり方」を学んだ一人として、私はこの国を立て直さなければならない。
「……ユウ殿。私は必ず、誰もが笑って、美味しいご飯をお腹いっぱい食べられるような、素晴らしいヤマトの国を創り上げてみせます」
遠ざかるキャンピングカーの背中を見つめながら、私は刀の柄を強く握りしめた。
彼らがこの国に残してくれたものは、あまりにも大きい。
米を炊く魔法の道具や、美味しい調味料。そして何より、「誰かを想って行動する」という心の在り方。
いつか。
このヤマトが完全に復興し、世界で一番豊かで美しい国になった時。
私は最高のお酒と、ヤマト中の美味を集めて、必ずあの『ユウの村』へと向かおう。そして、あの車内でまた、みんなと一緒に笑い合うのだ。
(その時は、私も『ぷりん』という夢の甘味を、誰よりもたくさん頂かなくては……!)
こっそりと胸に抱いた野望に、私は少しだけ頬を緩ませた。
青空は、どこまでも澄み渡っている。ヤマトの未来は、ここからまた始まるのだ。




