第130話: 機動城郭、王都キョウへ
翌朝。
僕たちは、『ユウの村』の留守をツムギや大工の親方たちに任せ、キャンピングカーに乗り込んだ。
「師匠! 絶対に無事で帰ってきてくださいね! 帰ってきたら、今度は『特大のオムライス』を作って待ってますから!」
「ああ、頼んだぞ、ツムギ。村のみんなに美味しいご飯を食べさせてやってくれ」
ツムギの力強い見送りに手を振り返し、僕はキャンピングカーの運転席……いや、コマンダーシートに座った。
「ナビ。全システム・オンライン。防御シールド最大出力で固定だ」
『イエッサー、マスター。動力炉出力、安定しています。現在位置から王都・キョウまでの最短ルート、および予想される魔法的障害の回避ルートを算出中……完了しました』
フロントガラス(ホログラム・ディスプレイ)に、ヤマトの地形とナビゲーションマップが浮かび上がる。
助手席にはカエデ。後部座席(リビング空間)には、セリス、ルナ、ソフィア、そしてララとポチがスタンバイしている。
「みんな、準備はいいか? これから向かう王都は、おそらくヤマトの闇(裏陰陽寮や瘴気の塊)が巣食う魔境になっているはずだ」
僕の問いかけに、それぞれの答えが返ってきた。
「はいっ! ユウ様がどこへ向かおうと、このセリスの光が道を切り拓きます!」
「へっ。どんな罠が張り巡らされていようが、アタシの短剣が全部見破ってやるさ。お宝(金銀財宝)も残さず頂いてやるからね!」
「わらわのバカンスを邪魔した連中じゃ。塵も残さず消し去ってやろうぞ! カッカッカ!」
「ララも、悪いヤツらやっつけるー!」
相変わらず頼もしすぎる(少し物騒な)面々だ。
カエデも、深々と頭を下げて感謝の意を示した。
「ユウ殿……重ね重ね、感謝いたします。この御恩は、生涯かけても……」
「恩返しなら、全部終わった後で最高の温泉酒でも奢ってくれればいいさ」
僕はアクセルを踏み込んだ。
静かなモーター音と共に、何十トンもの重量を持つキャンピングカーが、滑らかに(しかし暴力的なトルクで)ヤマトの街道へと滑り出していく。
目指すは、ヤマト・王都『キョウ』。
妖刀の源流。
世界の歪み(瘴気)の中心地。
そして、第三部の最大の敵が待ち受ける場所。
この最強の動く城と、チート級の仲間たちがいれば、絶対に負ける気はしない。
僕たちの、平穏なスローライフを守り抜くための最後の戦いが、いよいよ始まろうとしていた。




