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追放聖女を拾ったので、最強キャンピングカーで旅に出ます ~過酷な逃亡生活? いえ、エアコン完備で快適スローライフです~  作者: 悠々


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第129話: 嵐の前の静けさと決意

 村を襲った暗殺部隊との戦闘から数日後。

 監査官のサイカは、すっかり「ユウの村」のファンになってしまっていた。


「いやぁ、実に素晴らしい村ですな! 温泉の効能といい、あの『天ぷら』とやらの味といい……王都に帰るのが惜しいくらいですぞ!」

「あはは。そう言ってもらえるのは嬉しいですが、監査報告の方は大丈夫なんですか?」

「無論です! 『ユウの村は領主ゲンサイ殿の正式な開拓地であり、王都に対する反逆の意志は微塵もない。むしろヤマトの発展に不可欠な有益な地域である』と、このサイカが保証いたします!」


 サイカは完全にこちらの味方になり、中央に対する「防波堤」の役割を引き受けてくれた。裏陰陽寮の連中については、サイカの権限で「賊として捕縛した」という形で王都へ引き渡されることになった。

 もちろん、本当の「黒幕」の正体については伏せた上で、だ。彼のような小物に背負えるような真実ではない。


「……じゃあな、おっさん! もう二度と変なちょっかい出してくるんじゃないよ!」

「ワンッ!」


 ルナとポチに見送られ、サイカは満面の笑みで王都・キョウへと帰っていった。

 これで、村の「表向きの安全」は確保されたと言っていい。

 キャンピングカーの重機モードで次々と建てられた家屋に、大勢の人々が住み着き、僕たちの拠点たる『ユウの村』は、完全に活気ある街(リゾート地)として機能し始めていた。


「さあ、みんなでご飯にしましょう! 今日は特製のお祝いメニューですよ!」


 ツムギの声が広間に響く。

 厨房では、彼女とセリスが協力して、山のような『手巻き寿司』の準備を進めていた。新鮮なヤマトの魚介類と、キャンピングカーの魔導炊飯器で完璧に炊き上げられた酢飯。海苔巻きの匂いに、ララが待ちきれない様子で尻尾を振っている。


「ユウ。少し、良いか」


 賑やかな宴の準備の裏で、小広間の縁側に座るカエデが、静かな声で僕を呼んだ。

 彼女の膝の上には、ヤマトの地図が広げられていた。


「……あの暗殺者たちの背後に、キョウの貴族……あるいは、王家そのものに食い込んだ『妖刀の主』がいることは間違いない。このまま放置すれば、いずれまた、この村が標的になるだろう」

「ああ。それに、あの『瘴気』とやらを放置しておけば、この村どころか、ヤマト全体が腐敗してしまう危険性がある。第一部のバルガスの時と同じようにね」


 僕は縁側に座り、夜空を見上げた。

 キャンピングカーを手に入れてから、ここまでの果てしない旅路。

 美味しいものを食べ、温泉に入り、のんびりと暮らしたいだけだったのに。どうしてこう、僕の周りには厄介事が集まってくるのだろうか。


「カエデ。君は、王都へ行くつもりなんだろ?」

「……うむ。父を狂わせ、ヤマトを蝕む影を、この手で断ち切らねばならぬ。それが、領主の娘としての使命だ」


 固い決意に満ちたカエデの眼差し。

 僕はため息を一つついてから、ニヤリと笑った。


「なら、僕たちも行くよ」

「ユウ殿……しかし、王都は魔の巣窟となりつつあるやもしれぬ。貴方たちをこれ以上巻き込むわけには……」

「馬鹿を言っちゃいけない。この『ユウの村』は、僕たちの最高のマイホーム拠点なんだぜ? それを背後から狙おうだなんて、絶対に許せない。……それに」


 僕は広間の方を指さした。

 そこでは、ソフィアがすでに手巻き寿司を頬張り、「うむ、美味じゃ!」と満足げに笑っているのが見える。


「うちの連中も、すっかりヤマトのご飯の虜になってるからね。王都の美味い飯屋を全部回るまで、帰るつもりはないみたいだよ」

「……ふふっ。貴方たちらしいですね。心強いことこの上ない」


 カエデが、ようやく柔らかく微笑んだ。

 さあ、嵐の前の静けさはこれで終わりだ。

 キャンピングカーを満載の物資で満たし、僕たちは最後の決戦の地……魔都と化しつつある王都「キョウ」へと向けて出発する。


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