第85話 ナムネの問い
記憶の扉の向こう。
そこには小さな公園が広がっていた。
青い空。優しい風。花の香り。
そして、二人の前に立っていたのは、
アシスとナムネだった。
ロン毛「アシス!」「ナムネ!」
アシスは少し痩せていた。
それでもいつものように笑っていた。
アシス「よう。虹とは話せたか。」
ナムネ「よくここまで来たね。」
ナムネの表情はどこか悲しそうだった。
ロン毛「どうした?」
ナムネ「最後の選択の時間。」
ナムネ「お前には知る権利がある。」
ナムネが手をかざす。
すると、空に二つの未来が映し出された。
一つ目。
色を取り戻した世界。
元気になったアシス。
笑顔の自然たち。
しかしロン毛は自然と話せる力を失う。
ナムネ
「自然と話せる力を失えば。」
ナムネ「アシスは助かる。」
ナムネ「世界も救われる。」
ナムネ「だけど、虹と共に幸せになる未来は消える。」
ロン毛は息を呑む。
そして、もう一つの光景が映る。
虹と笑い合う自分。
二人で過ごす穏やかな日々。
しかし、世界から色が消え、アシスが苦しむ。
空から色が消えていく。
花は枯れ、風は止まり、世界が崩れていく。
ナムネ「逆に虹を選べば。」
ナムネ「お前たちは幸せになれる。」
ナムネ「でも、世界は滅びる。」
ナムネ「アシスも消える。」
静寂が訪れる。風も吹かない。
誰も何も言わない。ロン毛は俯いた。
虹「そんな……。」
アシス「気にすんな、俺のことなんか。」
アシス「好きなように生きろ。」
虹「ダメ!そんなの嫌!」
虹「みんなで幸せになる方法はないの?」
ナムネは静かに首を横に振った。
ナムネ「ない。」
ロン毛「だから。これはお前が決めること。」
ロン毛は拳を握る。
目の前には、
泣きそうな虹。
笑顔を作るアシス。
涙を堪えるナムネ。
長い旅の終わり。
最後に待っていたのは、誰かを救えば、誰かを失うという残酷な現実だった。
ナムネはロン毛を真っ直ぐ見つめる。
そして、涙を浮かべながら問いかけた。
ナムネ「お前はどうする?」
その言葉だけが、静かな世界に響いていた。




