第80話 再会
雨はいつの間にか弱まり、
約束の丘に柔らかな光が差し込んでいた。
草原に残る雨粒がきらきらと輝く。
遠くの木々も、花たちも、静かに風に揺れている。
ロン毛は大きな木にもたれ、空を見上げていた。
誰もいない。返事もない。
それでも不思議と寂しくはなかった。
ロン毛「待ってるよ。」
ロン毛「焦らなくていい。」
ロン毛「俺はここにいるから。」
ロン毛「何年でも待てる。」
優しい風が頬を撫でる。
まるで誰かが隣にいるようだった。
その時、厚い雲の隙間から光が差し込んだ。
そして、空に大きな虹が現れた。
七色の光。懐かしい色。
ロン毛は息をのんだ。
ロン毛「虹……!」
その瞬間だった。
「ロン毛!」
懐かしい声が響く。
優しくて、
少し泣きそうな声。
何度も夢で聞いた声。
忘れるはずのない声だった。
ロン毛の瞳から涙がこぼれる。
ロン毛「……虹なのか?」
返事はない。
風だけが吹く。
しかし、
再び声が響いた。
「ロン毛!」
今度ははっきりと。
ロン毛は立ち上がる。
姿は見えない。
どこにもいない。
それでも、
確かにそこにいた。
ロン毛「やっと会えた。」
ロン毛「迎えに来たんだ。」
ロン毛「俺、ここにいる!」
ロン毛「ずっと会いたかった!」
涙が止まらなかった。
嬉しいのか、悲しいのか、
自分でも分からない。
ただ、会いたかった。
その気持ちだけだった。
すると、懐かしい声が返ってきた。
虹「うん。ずっと見てたよ。」
「ロン毛、頑張ったね。会いたかった。」
ロン毛は言葉を失った。
何度も諦めそうになった。
何度も泣いた。
それでも、ここまで来てよかった。
ロン毛「俺……約束守ったぞ、ちゃんと来た。」
風が吹く。
花たちが揺れる。
鳥たちが空へ飛び立つ。
そして、七色の光がさらに輝きを増した。
虹「ありがとう、待っててくれて。」
虹「信じてくれて。私、すごく嬉しい。」
ロン毛は涙を流しながら笑った。
ロン毛「俺も。」
ロン毛「俺も嬉しい。」
空の向こう。
姿は見えない。
触れることもできない。
それでも、
二人の心は確かに繋がっていた。
雨上がりの匂い。
優しい風。
草原を照らす夕陽。
そして、
静かに輝く七色の光。
長い旅の終わりが、
ようやく始まろうとしていた。




