第60話 星降る丘の歌
追憶の遊園地を後にしたロン毛は、老人からもらった地図を頼りに北へ向かっていた。
昼を過ぎ。
夕暮れが訪れ。
そして。
夜。
ロン毛はようやく目的地へたどり着いた。
星降る丘。
名前の通り、空いっぱいに星が広がっていた。
流れ星。
青い星。
赤い星。
どこか現実とは違う、美しい夜空。
ロン毛「すげぇな。」
星「こんばんは。」
ロン毛「お前も喋るのか。」
星「今日は機嫌がいい。」
風「久しぶりに笑ったな。」
ロン毛「そうか?」
風「少しだけ。」
丘の上には一本の木。
その根元に。
一つのギターケースが置かれていた。
ロン毛「誰のだ。」
木「知らない。」
ロン毛「お前も知らんのか。」
木「昔からある。」
ロン毛「そうか。」
ロン毛はゆっくりケースを開けた。
中には見たことのないアコースティックギター。
しかし。
不思議と懐かしい。
ロン毛「借りるぞ。」
木「どうぞ。」
ロン毛は丘に腰を下ろした。
星空。
涼しい風。
静かな夜。
そして。
ギターを抱えた。
ロン毛「……。」
ロン毛「久しぶりだな。」
優しく弦を鳴らす。
ポロン。
ポロン。
そして。
自然と指が動いた。
ロン毛「『曇』。」
目白連として初めて作った曲。
上手くいかない日々。
失業した日。
虹と出会った春。
笑った日。
喧嘩した雨の日。
全部を抱えたまま。
ロン毛は静かに弾き続けた。
ポロン。
ポロン。
すると。
どこからか。声が聞こえた。
「その曲……好きだよ。」
ロン毛「!」
ギターの音が止まる。
ロン毛「虹!」
振り向く。
誰もいない。
風だけが吹いている。
ロン毛「気のせいか。」
しかし。
夜空の端で。
一瞬だけ。
小さな七色の光が揺れた。
ロン毛「!」
ロン毛「虹!」
光はすぐに消える。
ロン毛は再び空を見上げた。
ロン毛「待ってろ。」
ロン毛「絶対、会いに行く。」
その時。
遥か遠く。
星降る丘からも見えない場所。
白い花畑。
静かな湖。
夜空を七色の光が流れていく。
まだロン毛は知らない。
調和を司る者。
アシス。
記憶を司る者。
ナムネ。
そして。
虹が隠していた、本当の秘密を。
こうして。
ロン毛の旅は。
新たな物語へと進んでいく。




