第45話 初恋の色
翌日。
春らしい暖かな風が吹く午後。
ロン毛と虹は、いつもの川沿いの道をのんびり歩いていた。
昨日、かいちょとお茶をしたことはロン毛には話していない。
というより、虹自身、昨日知ったばかりの「恋」というものについて、まだよく分かっていなかった。
ただ一つ。
ロン毛の隣にいると、なんだか嬉しい。
それだけは確かだった。
虹「ねぇ、ロン毛。」
ロン毛「ん?」
虹「今日もいい天気だね!」
ロン毛「そうだな。」
虹「春って好き!」
ロン毛「しつこいくらい毎日言ってるな。」
虹「だって好きだもん!」
ロン毛「そっか。」
虹「えへへ!」
虹はちらっとロン毛を見る。
昨日、かいちょに言われた言葉が頭をよぎる。
『それ、恋じゃね?』
虹(恋……。)
虹(私、ロン毛のこと好きなんだ。)
虹(好きって、こういうことなんだ。)
そう思うと、なんだか顔が熱くなった。
ロン毛「どうした?」
虹「えっ!?」
ロン毛「顔赤いぞ。」
虹「だ、大丈夫!」
ロン毛「春だもんな笑」
虹「う、うん!」
ロン毛「便利な言葉だな。」
虹「えへへ。」
二人は公園へ向かう。
ベンチに座ると、ロン毛はエナドリを開けた。
虹「一口ちょうだい!」
ロン毛「美味しくないぞ。」
虹「大丈夫!」
一口飲む。
虹「うえっ!」
ロン毛「言ったろ。」
虹「大人の味だ……。」
ロン毛「まだ子供だな。」
虹「子供じゃない!」
虹「恋だってしてるもん!」
ロン毛「ん?」
虹「!」
虹「な、なんでもない!」
ロン毛「変なやつ。」
虹「もう!」
風「ふふふ。」
ロン毛「笑うな。」
風「青春だなぁ。」
ロン毛「なんの話だ。」
風「秘密。」
虹「秘密!」
ロン毛「お前まで。」
しばらく歩く。
すると、少しだけ強い風が吹いた。
虹「あっ。」
ロン毛「ん?」
虹「髪!」
ロン毛の長い髪が顔にかかっていた。
虹「じっとして!」
ロン毛「?」
虹はそっと髪を整える。
二人の距離が近くなる。
ロン毛「ありがとう。」
虹「う、うん。」
ロン毛「どうした?」
虹「なんでもない!」
虹の胸はドキドキしていた。
昨日までは平気だった。
なのに今日は違う。
顔を見ると嬉しい。
隣を歩くと楽しい。
笑ってくれるともっと嬉しい。
そして。
少しだけ近づくだけで、胸が苦しくなる。
虹(これが恋なんだ。)
虹(好きなんだ。)
虹(ロン毛のこと。)
夕日が空を赤く染め始める。
虹「ロン毛。」
ロン毛「ん?」
虹「私ね。」
虹「ロン毛と一緒にいるの好き。」
ロン毛「俺も。」
虹「!」
ロン毛「楽しいし。」
ロン毛「退屈しないし。」
ロン毛「笑ってるお前見てると、なんか安心する。」
虹「……。」
ロン毛「どうした?」
虹「ううん。」
虹「嬉しい!」
ロン毛「そりゃよかった。」
虹「えへへ!」
初恋の色は。
赤でも青でもない。
きっと。
雨上がりの空に浮かぶ七色のように。
少し眩しくて。
暖かくて。
優しい色をしていた。




