第42話 桜とロン毛
隣には、すっかり人の姿でいることに慣れた虹と散歩をしていた。
虹「暖かいね!」
ロン毛「そうだな。」
虹「春って好き!」
二人が川沿いを歩いていると、満開の桜並木が見えてきた。
虹「わぁ!」
虹「すごい!」
虹「綺麗!」
虹「近くで見るの初めて!」
虹は目を輝かせていた。
すると、頭上から穏やかな声が聞こえてきた。
桜「ふふ。」
桜「今年も咲けた。」
ロン毛「おっ。」
虹「?」
ロン毛「桜だな。」
虹「え?」
ロン毛「桜だよ。」
虹「話せるの!?」
ロン毛「そりゃーね。」
桜「こんにちは。」
虹「こんにちは!」
虹「桜さん!?」
桜「そう。」
桜「君が噂の虹か。」
虹「知ってるの!?」
桜「風から聞いているよ。」
虹「えへへ!」
ロン毛「顔広いな。」
桜「春は出会いの季節だからね。」
ロン毛「またそれか。」
桜「また?」
ロン毛「みんな似たようなこと言ってた。」
桜「そうか、それじゃあ花見でもしたらどうだい?」
虹「花見!」
虹「したい!」
ロン毛「そうだな。」
虹「やったー!」
近くのコンビニでおにぎりとお茶を買い、二人は桜の下のベンチに座った。
虹「これが花見かぁ。」
ロン毛「そんな大したもんじゃないぞ。」
虹「楽しい!」
虹「すごく!」
ロン毛「まだ食ってるだけだぞ。」
虹「ロン毛と一緒だから!」
ロン毛「そうか。」
風が優しく吹き抜ける。
桜の花びらが、二人の周りをゆっくり舞った。
虹「わぁ!」
虹「綺麗!」
ロン毛「そうだな。」
虹「ロン毛!」
ロン毛「ん?」
虹「春っていいね!」
ロン毛「そうだな。」
虹「私、春好き!」
ロン毛「俺も嫌いじゃない。」
虹「えへへ!」
虹は嬉しそうに笑う。
ロン毛も、つられて笑った。
そんな二人を見ながら、桜は静かに呟く。
桜「若いねぇ。」
桜「咲く花も、巡る季節も。」
桜「いつか散るから美しい。」
桜「だからこそ。」
桜「今を大切にするんだよ。」
ロン毛「なんか言ったか?」
桜「いいや。」
桜「独り言さ。」
青い空。
暖かい風。
そして、満開の桜。
春は始まったばかりだった。
ロン毛と虹もまた。
まだ知らない。
この何気ない一日が、いつか忘れられない思い出になることを。




