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虹とロン毛  作者: かいちょ
第1章 自然との日常
38/78

第32話 あいつらと俺全員同窓会してんだよ

冬の夜。


ロン毛は駅前の居酒屋の暖簾をくぐった。


今日は彪瀬高校の同窓会。


卒業してからそれぞれの道を歩いてきた仲間たちが久しぶりに集まる日だった。


ロン毛「誰が来てんだ?」


扉を開けると、


やすなり「久しぶり!」


そーたろう「ロン毛!」


せまし「全然変わってねぇな!」


勇「相変わらず髪長いな。」


そして、


かいちょ「うっす。」


ロン毛「お、カシオレ野郎。」


かいちょ「誰がカシオレ野郎だよ。」


みんな笑った。


少し遅れて、


葵「みんな久しぶり!」


ロン毛「おぉ!」


席につくと、昔話が始まった。

やすなりは地元の会社で働き始めた。


「最初は怒られてばっかだったけど、最近ようやく後輩ができた。」


そーたろうは学校に通いながらバイトをしている。


「毎日眠い。」


と笑った。


せましは資格の勉強中。


「まだ受かってないけどな。」


勇はバイク関係の仕事を始めた。


「朝早いのだけは慣れん。」


葵も勉強を頑張っていた。


「毎日レポートばっかり。」


みんな、少しずつ大人になっていた。


すると、


「おぉ!」

木更津先生が現れた。


続いて、


代々木先生。


沼田先生。


村杉先生。


そして石川先生。


石川「みんな大きくなったね。」


代々木「大きくなりすぎだ。」


木更津「飲んでる?」


沼田「先生たちは飲んでるぞ!」


一気に高校時代に戻ったようだった。


木更津先生がグラスを持った。


木更津「お前ら、元気そうでよかった。」


代々木「卒業した時は、正直どうなるかと思ったやつもいたけどな。」


みんな笑う。


石川先生「でも、ちゃんと頑張ってるんだね。」


村杉先生「それが一番だ。」


そして。


木更津先生は、みんなの方を見た。


木更津「お前ら」


全員「はい。」


木更津「お前ら、学校来るの大変だったもんな。」


少し静かになる。


かいちょ「まあ、色々ありました。」


代々木「でも今大学生だったり就職してるだろ。」


かいちょ「なんとか。」


石川先生「すごいじゃない。」


ロン毛「いやいや。」


木更津「いや、すごいんだよ。」


全員「…。」


木更津「学校に来られない日もあった。」


代々木「遅刻も多かった。」


沼田「心配したなぁ。」


石川先生「でも、ちゃんと前に進んでる。」


村杉先生「それで十分だ。」


高校時代。


みんな悩みがあった。


将来のこと。


友達のこと。


勉強のこと。


恋愛のこと。


誰もが不安だった。


でも。


今、こうして集まって笑っている。


それだけで十分なのかもしれない。


勇「そういやロン毛。」


ロン毛「なんだ。」


勇「お前、高校の時から変わらんよな。」


せまし「いつも散歩してたし。」


そーたろう「ギター弾いて喜んでた。」


葵「森谷辰哉の話ばっかりだった。」


みんな笑う。


ロン毛「変わってないか。」


木更津「それでいいんだ。」


ロン毛「え?」


木更津「無理して変わる必要なんかない。」


代々木「昔より大人になった部分もあるし。」


石川先生「変わらない部分もある。」


村杉先生「人間そんなもんだ。」



時計を見ると、もう22時。


帰る者もいれば、二次会に行く者もいる。


ロン毛はみんなの顔を見た。


働くやつ。


大学に通うやつ。


夢を追いかけるやつ。


迷いながら進むやつ。


みんな違う。


でも。

みんな頑張っていた。


ロン毛「お前ら頑張ってんだな。」



かいちょ「酔ったか?」


ロン毛「いや。」


やすなり「なんだよ。」


ロン毛「なんか嬉しくてさ。」


葵「ふふ。」



ロン毛「高校の時は想像できなかった。」


勇「まあな。」


ロン毛「でも今、お前らと俺。」


グラスを持ち上げる。


ロン毛「全員同窓会してんだよ。」


「乾杯!」


グラスの音が重なる。


外は寒い冬の夜。


だけど。


あの日の教室みたいに、みんなの笑い声だけは暖かかった。


そしてロン毛は思った。


また数年後も。


誰かが悩んでいても。


誰かが遠回りしていても。


こうして笑って集まれたらいい。


それだけで十分だ、と。

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