表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹とロン毛  作者: かいちょ
第1章 自然との日常
35/85

第30話 年末 スナックでナイアガラ。 カオスもカオス 愉快や愉快

12月31日。年の瀬も迫り、街にはどこか浮かれた空気が流れていた。



夜の街にネオンが灯り始めた頃、三人はスナック「メゾンモーヴ」に集合した。


「おぉ、来た来た!」

ロン毛が手を振る。


かいちょ「 酔っ払ったら幼稚園の園歌歌おうな。」


釜内「覚えてねぇよーw」


「今年も色々あったなぁ。」


ロン毛はそう言いながら店の扉を開ける。


店内には演歌が流れ、カウンターの向こうではママが笑顔で迎えてくれた。


ママ「いらっしゃーい! あらロン毛くんのお友達!?珍しいなぁ!」


関西弁でよく喋る、明るくておもろいママだった。

席につくと、それぞれ飲み物を注文する。


釜内「俺、ハイボール!」


ロン毛「レモンサワー。」


かいちょ「カシオレ!」


ママ「かわいいの頼むやん!」


かいちょ「飲みやすいんですよ!」


ママ「そんなん言うてるやつが一番危ないねん!」


三人は大笑いした。


しばらくすると、かいちょはママと意気投合して、ずっと話し込んでいた。



かいちょ「今まで色々あったんですよ。」


ママ「話してみ。」


かいちょ「まず、めっちゃ仲良くなって、両思いみたいになって、勇気出して告白したことがあったんです。」


ママ「うん。」


かいちょ「付き合えたんですけど、次の日には振られました。」


ママ「ええっ?。」


かいちょ「ネットで出会った子と遠距離恋愛した時も、向こうから告白してくれたんです。」


ママ「ほぉ。」


かいちょ「俺なりに一途にやってたつもりで、毎日連絡して、会える日を楽しみにして。」


ママ「うん。」


かいちょ「でも結局、振られちゃって。」


ママ「遠距離は難しいからなぁ。」


かいちょ「学生時代も、気になってた女友達と、二人で昼飯食べるくらい仲良くなった時に。」


ママ「おう。」


かいちょ「『一緒にいると楽しいけど、彼氏にするほどの男じゃない』って言われたんです。」


ママ「うわぁ…。それは刺さる。」


かいちょ「なんか、俺って中途半端なんかなって。」


ママは少し笑いながら首を振った。


ママ「ちゃうちゃう。」


かいちょ「え?」


ママ「恋愛ってな、『いい人』や『一途』やから必ずうまくいくわけちゃうねん。」


かいちょ「…。」


ママ「一日で終わる恋もあるし、遠距離でダメになることもあるし、仲良くても恋愛対象にならんこともある。」


かいちょ「はい。」


ママ「でも、それって全部あんたの価値を決める話やない。」


かいちょが反応する前にママは続ける。


ママ「一途やったことも、人を好きになれたことも、誰かと楽しい時間を過ごせたことも、全部ちゃんと意味あるんや。」


かいちょ「意味ありますかね。」


ママ「あるわ。」


ママは笑いながら続けた。


ママ「そもそもな、『彼氏にするほどの男じゃない』なんて言われても、他の誰かからしたら『この人しかおらん』ってなるかもしれん。」



ママ「恋愛って就職試験ちゃうねん。一人に不採用出されたからって、人間失格にはならん。」


ママ「それに、最後に幸せになった奴の勝ちや。」


かいちょ「…。」


ママ「これまでダメやったくらいで、自分を安売りしたらあかん。」


かいちょ「はい。」


話は尽きず、かいちょは二杯目のカシオレへ。


釜内「かいちょペース早くね?」


ロン毛「大丈夫か?」


かいちょ「全然いけるっしょ!」


ママ「それ、さっきも聞いたで。」


しかし一時間後。


かいちょ「なんか…回る…。」


釜内「おい、顔真っ白だぞ。」


ロン毛「水飲め水!」


ママ「ちょっとあんた、無理したらあかん!」


かいちょ「だいじょ…」


と言った瞬間。


「うっ…」


三人は慌ててトイレへ。


ロン毛「うわぁぁ!」


釜内「大丈夫か!?」


ロン毛「背中さすれ!」


かいちょは完全にカシオレにやられていた。


ママ「だから言うたやろ!」


吐き終わると、ぐったりしたかいちょは椅子に座り込んだ。


かいちょ「すいません…。」


ママ「謝らんでええ。若いうちはそんなこともあるわ。」


釜内「介抱代請求するぞ。」


ロン毛「カシオレ二杯でこれか…。」


すると会計の時間。


ロン毛は財布を開く。










ロン毛「……。」


釜内「どうした?」


ロン毛「金がない。」


釜内「は?いくら足りないんだ?」


ロン毛「三千円。」


釜内「絶妙だな!」


ママ「なんやねんあんたら!」


店内は大笑い。


釜内「ほら、貸してやるよ。」


ロン毛「助かる。」


釜内「返せよ?」


ロン毛「そのうち。」


釜内「そのうちじゃねぇ!」


かいちょ「うぅ…。」


ママ「一人は酔い潰れてるし、一人は金ないし、まともなん釜内くんだけやん!」


釜内「俺もそう思います!」


時計を見ると、23時55分。


店内ではテレビから年越し特番が流れていた。


ママ「もうすぐやで!」


常連客も集まり、みんなでカウントダウンが始まる。


「10!」

「9!」

「8!」

「7!」

「6!」

「5!」

「4!」

「3!」

「2!」

「1!」



「あけましておめでとうー!!」

店内中が拍手に包まれる。


ロン毛「今年もよろしく!」


釜内「よろしく!」


ママ「ええ一年にしぃや!」


そして…。


かいちょ「……あ。」


釜内「起きた。」


ロン毛「復活した。」


かいちょ「幼稚園の園歌歌わなきゃ。」


釜内「まだ言ってんのか!」


ロン毛「覚えてんの?」


かいちょ「あったりまえ。」


かいちょはふらふらしながら立ち上がる。


かいちょ「僕らの〇〇幼稚園♪」


しかし誰も知らない。 釜内も覚えてない。


釜内「知らん!おぼえてない!w」


ロン毛「全くわからん!」


ママ「なんやそれ!」


店内は再び笑いに包まれた。



こうして、吐く者、金を借りる者、それを見守る者。


いつも通りの三人は、いつも通り騒がしく新年を迎えるのであった。


最後にロン毛は空になったグラスを見つめながら言った。


ロン毛「今年も頑張るよ。」


釜内「まず三千円返せ。」


かいちょ「うぅ…水ください…。」


そんな事がおきていながら裏では別なストーリーが進んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ