19話 虹 風の噂を聞く
大きく空にかかる虹は、今日も静かに役目を終えようとしていた。
すると、どこからともなく風が吹いてきた。
風 「そういえば、最近面白いやつの話を聞いたよ。」
虹 「面白いやつ?」
風 「ロン毛って呼ばれてる。」
虹 「ロン毛?」
風 「そう。」
虹 「人?」
風 「人。」
虹 「変な名前。」
風 「本名じゃないと思う。」
虹 「何する人なの?」
風 「ギターと話したり。」
虹 「変わってるね。」
風 「子猫と昼寝したり。」
虹 「優しそう。」
風 「くるまえびの世話をしたり。」
虹 「忙しそう。」
風 「自然とも話せる。」
虹 「それは嘘でしょ。」
風 「本当。」
虹 「風とも?」
風 「うん。」
虹 「じゃあ、私とも話せる?」
風 「多分ね。」
虹 「会ったことあるの?」
風 「いっぱい。」
虹は少し考えた。
虹 「どんな人なんだろう。」
風 「さあね、私にもまだ理解できない。」
虹 「優しい人?」
風 「たぶん。」
虹 「面白い人?」
風 「たぶん。」
虹 「変な人?」
風 「それは間違いない。」
虹 「ふふ。」
その頃。
ロン毛は家でキズナに頭を噛まれていた。
キズナ 「がぶ!」
ロン毛 「痛い痛い!」
ギター 「遊ばれとるな。」
猫じゃらし 「今日も平和や。」
遠くの空で、虹はだんだん薄くなっていく。
虹 「いつか会えるかな。」
風 「さあな。」
虹 「会えたら何話そう。」
風 「好きな色の話でもすればいい。」
虹 「変なの。」
風 「お互い様。」
そして虹は、夕焼けの空に溶けていった。
まだ見ぬ「ロン毛」という人を、少しだけ気にしながら。




