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『おい、ゴブリンが一匹いるぞ』
受付嬢狙いの男が声を潜めて、後ろにいる仲間に伝える。
『おう、じゃあサクッと殺ってくるわ』
一番ゴツい体格のデカい斧を担いだ男がニヤリと笑ったかと思うと、その体格に合わぬ俊敏さでゴブリンの元に走っていった。
ゴブリンはあっという間に倒され、その短い生涯を終えるのだった……。
「悪いな、ゴブリン。安らかに眠れ」
思わずスクリーン越しに手を合わせる。
だがしかし。ゴブリンの犠牲は無駄にならなかった。
冒険者の内の一人が、洞窟に気付いたのだ!
『おい、あんな所に洞窟があるぜ』
『んあ? 洞窟?』
冒険者達の視線が洞窟に向かう。
『……森の奥に洞窟があるなんて話、聞いたことねぇな』
皆の目が鋭くなる。
素早くゴブリンの右耳を剥ぎ取って掘った穴にゴブリンを埋めると、男達は目配せをして慎重に洞窟内に入っていった。
「いらっしゃいませ〜! 四名様、ご案内〜!」
テンション高く叫びながら、両手で掴んだあおを高く掲げてクルクルと回る。
洞窟の中に広がる草原を前にして、冒険者達の眉間に皺が寄った。
『これは……間違いなくダンジョンだな』
『ああ。かなり広そうだ』
『ちょっと見てくる』
『無理するなよ』
このパーティーで斥候役を担っているのだろう男が、ダンジョン内に足を踏み入れる。
しばらくして戻ってきた男の手には、赤紫色の何かが握られていた。
『見える範囲に罠もなければモンスターもいなかったんだが、あっちこっちに色んな種類の薬草が生えてるのと……』
『何だ?』
『宝箱を見つけた』
『は?』
『マジか!?』
『開けてみたのか?』
『いや、とりあえず皆に報告しようと思ってこれを採ってきた』
そう言って手にしていたものを見せる。
それはムラサキという植物の根だった。
『紫根だな。十本ひと束で金貨一枚で売れる』
『マジかよ。ゴブリンなんかより余ほど稼げるな』
『いや、それより宝箱はどこだよ。開けてみようぜ!』
『そうだな。おい、案内してくれ』
『分かった』
四人の冒険者達が意気揚々と宝箱に向かう。
「なあ、コア。あの宝箱の中身は何だっけ?」
尋ねると、直ぐにコアが答える。
「初級者向ケノ短剣デス。売レバ銀貨5枚程二ナルカト」
「今から中身を変えられるか?」
「可能デス」
「じゃあ、金貨二枚分くらいの価値がある短剣に変えてくれ」
「畏マリマシタ」
あの冒険者達からしたらきっと、銀貨五枚の短剣なんてショボくて旨味のない宝箱でしかないはず。
次に繋げるためにも、ここは奮発しないとダメだろう。
「50DPヲ使用シテ初級者向ケノ短剣カラ初中級者向ケの短剣二チェンジシマス」




