異世界生活始まりの「選ぶ方」
「試したっていうのは、まぁまだ試せてないけどお兄ちゃんが揺らがないかよ」
「揺るぐ?」
「そう、お兄ちゃんは三日後にようやく八年越しの願いを叶えられる。この意味わかる?」
ルナはいきなり真面目な顔でたずねてきた、僕は頷く。
「...分かってるよ」
「本当?もしあの子がお兄ちゃんと一緒にいたいなんてお兄ちゃんを惑わして、もしお兄ちゃんが戻りたくない気持ちになっちゃったら、どうするの?」
「あの子はまだ本当のことを言えてない、だからね不安要素なの」
その時、ルナがこちらへ近づいてきて手で目を塞がれた。
「っ、ルナ!」
「すぐよ、5秒だけ」
(5秒?5秒ってまさかーー!)
僕は慌ててルナの手を引き剥がしたが間に合わなかった、5秒なんてあっという間でルナの手が離れた頃には、またあの子の姿に戻っていた。
「ルナやめるんだ」
「ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんほんとうに戻りたい?」
ルナはこちらへ迫ってきた、僕は冷静に答えた。
「戻りたいに決まってるよ、ずっとそれを望んで..
生きてきたんだから」
「ねぇ家主さん、家主さんは私と一緒にいたくないの?」
声まで似せてきたかと、耳を手で塞いだ。
「ねぇ家主さん、本当の事言ってみてください。家主さん」
ルナはぎゅっと僕の体に抱きついてきた、僕は体を後退させるもののルナは力強く粘り付いてくる。
「家主さんってば、私は家主さんと一緒に居たいんです。家主さんはどうしても戻りたいんですか?ねぇ、家主さん」
「ルナ、離れて」
家主さん家主さんと繰り返すルナ、ほんとうにあの子の話し方とそっくりだな。だけど僕は負けてはいけない、迷いなんてないんだから、そうずっと言い聞かせてきた。
「明日も明後日も、一年後もずーっと私が大人になるまで、面倒見てくれるって言ったじゃないですか...」
うるうるとした涙目でこちらを見上げてくる。
(これは何言っても聞かなさそうだな、いやルナも不安なのか)
「ルナ、僕の心は決まってるから大丈夫だよ」
「それってどっちに?お兄ちゃんに戻る方?それとも...」
「もちろん、僕に戻る方に」
僕は微笑み優しくルナの頭を撫でた。
「ーーーふふっ、ありがとう。お兄ちゃん」
ルナはご機嫌そうに微笑む。そしてそのまま再び手で目を塞がれた。





