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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
終わりの僕と始まりの君。
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異世界生活始まりの「悪戯」


「ーーーん」


重い重い瞼を開く、いつもと変わらない窓からの暖かい日差し。一階から、ベーコンの焼けてる香ばしい香りがする。


僕は寝返りを打ち、あくびをしながらベットから起き上がる。ふと、どうしてベーコンの焼けてる香りが?と頭に疑問がよぎった。


「ーーー?」

ここは森の中で他に家はなく周りは草木やハーブの匂いしかない、僕は今起きたばかりだ。


「よいしょ、っと」

ベッドから立ち上がり、寝起きのおろおろとした足取りでクローゼットからカーディガンを取り出し羽織る、香りの正体を確かめたくて、パジャマのまま一階へ降りていく。



「ーーー」

トントンと僕がスリッパを履いて階段を降りる音と、一階で包丁で何かを切る音が調和する。リズミカルな切る音はいかにも料理慣れをしているような音だ。


一階へ降りてキッチンをそっと覗くと人影が見えた、華奢な体でシャツを着てるたぶん女性。


(泥棒か?)


いや泥棒が料理なんかするはずがない、取りたいものだけ取ってさっさと出ていくはずだろう。



「......」

そして彼女は僕には気づいてないのか、さっきから楽しそうに玉ねぎを微塵切りにしてる。


「あの、どちら様ですか?」

僕は見覚えのない後ろ姿に声をかけた。



「はい?」

「ーーー」


目を丸くした、不意をつかれた、残っていた眠気が吹っ飛んだ。本当に心臓を突かれるようなそんな感覚だった。



「おはようございます、家主さん。どちら様って...まだ寝ぼけてるんですか?ふふっ」


「......嘘だ、ろ」


違う、目の前にいるのはじゃない。あの子(幼女)ましてやあの子が大人の女性になった姿なんかじゃない、絶対。


だけど、背が伸びて顔立ちが少し大人っぽくなった他は、纏う空気も顔も笑い方も全てが似てる。



「家主さん?大丈夫ですか?」

「ーーーえ、あ、あぁ大丈夫だよ」


「そうですか?ならいいんですけど。あ、今日の朝ごはんはベーコンエッグとトーストですけど、ジャム何にしますか?」


「ジャム?あぁ、ええとストロベリーでいいよ」

「わかりました、ストロベリー好きですよね家主さん」


その子は微笑んでまた料理に戻った。


動揺を隠しきれない、これは魔術の類か何かだろう、でないとこんな夢を自然に見るはずない。


僕は、ありきたりな方法だけど自分の頬を強く摘んだ。これで目が覚めれば夢だ、そうであって欲しい。


「いっ...っ」

痛みに耐えるが、逆に寝ぼけていた目と体が覚めていく。

「......」

いくら摘んでも引っ張っても、僕の体が眠気からさめていくばかり。あまりやってると怪しまれるなと思い、とりあえず洗面所へ向かった。



家の中に変化はなく、何も変わらなかった。物の配置もいつも通り。



僕が寝てる間にあの子が何かしかけたのか?でも昨日の夜は部屋に行ってそのまま寝たはず、僕が寝る前にこっそり部屋を確認したらもう電気は消えていたから、寝たとばかり思ってた。


「...とりあえず、どうにかするか」

洗面所でいつも通り顔を洗って髭を剃って、髪を整える、服はまぁパジャマでいいか。


そして居間へ向かった、あのテーブルに朝食が並べられてあの子が椅子に座って待っていた、テーブルにはコーヒーが二つ。


「あ、家主さん!遅いですよー」

「...ごめん、ちょっとね」


「ほら早く食べましょう?今日は家主さんの好きなストロベリージャム朝から手作りしたんですから」


「あぁ、そっか。ありがとう」


「いただきまーす」

「頂きます」


あの子はジャムをたっぷりつけてトーストを齧る、僕も食べ始めた。


「美味しいですねー家主さん」

「うん、美味しいね。...そういえば、いつから料理するようになったんだっけ?」


「えぇ、私が15になった時からじゃないですか家主さん。まだ寝ぼけてるんですか?」

「...あ、そうだっけ。ごめんごめん」


僕はごまかして笑った。

(15歳か。じゃあこの子は今15歳以上、18か19ぐらいかな)


「あ、そうだ家主さん。今日はクロードさんが奥さん連れて来るらしいですよ?」


「っ、ごほっごほっ!」

思わずむせた。


「ちょっ、家主さん?!だ、大丈夫ですか?」


「ごほっ...ク、クロードが結婚?!」

「何言ってるんですか家主さん。もうクロードさんは結婚して三年ですよ?赤ちゃんもいるじゃないですか、ほら」


「ーーー」


あのクロードが結婚?子供?それこそ嘘じゃないか。


「そ、そうだったね。ごめんごめん」

「もう、家主さんってば何か変ですね。熱でもあるんじゃないですか?」


冗談交じりにそう言われ、僕は口を拭い席を立った。


「...そうかもしれないから、もう部屋で休むよ。朝ごはんは昼に食べるから、ごめん」

冗談交じりの笑顔は本当に心配してる顔に変わった。


「えっ、大丈夫ですか?もしかして本当に熱あるんですか?」

目の前の子の手が僕の額に触れた、そこからは体温が感じられない。



「熱はないし大丈夫だよ、だからもうやめてくれないかな。ルナ」

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