異世界生活始まりの「君の事」
「言い過ぎたかな」
僕は破片や濡れた床の掃除を終えて、居間のソファに座っていた。結局あの子は部屋へ入って行っちゃったし、大人気なかっただろうか。
そりゃあ僕だって手紙で事を伝えられて正直ビックリした。まさかこんなに急だとは思わなかったし、正直諦めてたっていうのも少しあった。
「でも、良かったよ。ようやく君は僕に戻れるんだ」
小さな光を放つ緑色のペンダントに語りかけ、指で光をなぞった。
「自分にこんな事言うのも変だけどさ、君が元に戻ったら今の僕という人格も記憶も失われる。でも君が僕に戻って8年前からやり直せるよ、だからあと少し待っていてほしい」
僕が知らない昔の僕は、一体どれほど冷酷な人だったんだろうか。それだけ興味本位で見て見たかったけど叶わないな。
8年という長い長い日、その中で沢山の思い出ができた。本当は思い出は作らないようにするはずだったけど、あの子と出会ってからずいぶん僕も変わったなぁ。
そしてあの子も変わった。僕が教えられる事はほとんど教えたし、魔術の才能もある、でも一つだけあの子の選択肢を聞かないといけない。
「僕もまだ不安だけど、でももう来てしまったものは仕方ない。腹をくくらなきゃ。...そうだよ、覚悟なんて出来てるに決まってる」
(でも3日後、僕が消えたらあの子はどう生きていくんだろう。ちゃんと準備はしてあるけど、あの子がもしこちらを選んだら...)
確かに賢いし頭の回転も早いけど、ちょっと無理する所があるからクロードにはこれからも世話してもらわないといけないかな。
「ーーー」
何か心にひっかかるような気がしたけど、眠気が来るまでハーブティーを飲んで、本を読む事にした。





