異世界生活始まりの「天才になれる君」
「...でも私、やっぱり」
手に取った紙をぐしゃりと潰してしまう、それは宮廷魔術師見習いの為の応募用紙。キャッチコピーには『年齢経験性別は問わず、全ての魔術師にチャンスを与える、全ての才ある者ここに集え』
(そんなに凄い魔術師じゃないし...)
クロードさんも家主さんも褒めてくれる。それでも自分は他の魔術師のうちの一人、ただそれだけで大したことないと、この紙をくれたクロードさんにそう言った事がある。だけどこう返された。
『君は自分を見下すようだが、そんな事をする必要ない。ハッキリ言って君は類稀に見る才能の持ち主だ、そしてその才を伸ばしていける若さがある。君が望むなら俺は君を宮廷魔術師見習いへ推薦したい』
家主さんにはまだ言っていないクロードさんと私だけの話だった。
クロードさんは宮廷魔術師見習いへの試験の事を、天才を示す試験だと言う。
試験でようやく本気を発揮できる者もいる、勿論もう天才と呼ばれている者もこの試験で更に己を最大限に主張して天才を示せ、という意味らしい。
「天才に、なれるのかな...というか天才ってなんなんだろう」
天才っていう形ない物がよく分からなくてため息をついた。
「マイヴィーナス、寝てるのかい?」
「え、あ、起きてますっ」
家主の声に幼女は慌てて1階に向かって返事をした。
「さっきから呼んでも来ないから寝てるのかと思ってさ。今日の晩御飯何がいいかなー?」
「えーっと、えっとなんでもいいです!」
「じゃあハンバーグにするかなー」
家主の声が遠のいていく。材料を確認しに冷蔵庫へ向かって行った。幼女も一旦紙を引き出しにしまって1階へ向かった。
「...はぁ」
夕食は家主の特製ハンバーグとオリジナルソース付きの美味しいご飯だったが、幼女はあまり食事を楽しめはしなかった。
幼女が自分の道を見つめる時期です、さぁ幼女は自分のやりたい事を選ぶのか、天才になりたいと願うのか。





