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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
ティータイム。
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異世界生活始まりの「勉強」


「いやぁ、時の流れは早いね」

「おじさんみたいな事言わないでください家主さん。というか、いきなり何です?」


午後の優雅なティータイム、少し肌寒い隙間風が入ってくる中、ふと家主がそう言った。



「だって、君が来てもう3年だなんて信じられない

し」

「んーそうですか?あ、じゃあ私は勉強があるので失礼します」


10歳になった幼女はそう言って、ティータイムの席を1分も経たないうちに立った。


「えー...もうちょっとだけ僕は君とティータイムを楽しみたいな」

家主がにこっと笑って幼女の手に触れる。


「これ以上クロードさんを待たせられません。それに家主さん、そう言って昔女性を何人も口説いて来たとか...クロードさんに聞きましたよ」


幼女は露骨に不快感を表した顔をした。そして、教本と筆記用具を抱えてクロードが待つ2階へ上がって行った。


「っ、クロードに魔術を教わるようになってからマイヴィーナスはああなっちゃった。クロードめ余計な事を...」



そうあれから三年めの今日、幼女は一年前からクロードに本格的に魔術を教わっていた。



三年前は魔力の質だけを見れば幼女は良い方だったが、クロードに魔術を本格的に習い始めて、失敗を重ねる時もあったが、呪文の覚える速度や魔術の成功率も日に日に成長していく。


魔術の正確さ、魔力の生産、容量や密度全てにおいて特Aランク、幼女は天から与えられたような才能を努力で最大限に引きだした。だが幼女の成長は止まらず、気づけば、全てにおいて家主をとっくに追い越し『天才魔術師の蛹』として、週間オークに掲載された事で噂が少しずつ広まっていく。


現役宮廷魔術師のクロードに魔術を習った方が君の為になると、家主は最後の授業でそう言い、クロードは快く引き受けた。



「すみません、遅れましたっ」

2階へ上がり部屋の扉を開ける。机の前に椅子が二つ、机の横に設置された椅子にクロードさんが腰掛けている。私は机に教本を広げ、机の前の方の椅子に座った。



「構わない、どうせまたアイツが駄々こねたんだろう。全くいい年だというのに...あぁすまない、では昨日の続きから始めようか」


「あ、はい!」


クロードさんの教え方は正直、家主さんよりかなりわかりやすい。そして休みの日は習った魔術を実践としてやらせて貰えるのも楽しい。失敗はするけど自分が何処まで出来るのか確かめられるのは嬉しいし楽しい。


「あぁ、そこは呪文が複雑だからこうすると覚えやすい」


「それから、ここは...」

授業は長くて2時間、短くても1時間は続く。呪文はほとんどが教材に乗っているけど、乗っていない呪文もある、発音の仕方は人から直接教わらないとなかなか正しく身につかない事も知った。



「よし、今日はここまでにするか。明日の月曜からはまた仕事があるから来れないが、水曜は空いてる。その時に実践の練習をしよう」


「はい、ありがとうございました」


「それにしても、一年でここまで覚えが早いと将来が楽しみだ。容姿変化の高度な魔術なんて、君と同じ年の魔術学園に通う生徒でもまだ教えて貰う事すら出来ないというのに」


「...ありがとうございます、クロードさんにそう言ってもらえたら何だか嬉しいです」


私が笑うとクロードさんも目を細めて微笑んだ。


「ははっ、アイツは君をそういう道へ強制的に進ませたいとは思ってないようだが、君さえ良ければ、君ほどの実力があれば夢ではない。考えておいてくれないか」


「...はい」

「そうか、いい返事を待っている。ではまたな」


そう言うとクロードさんは席を立って1階へ降りていった。




(いい加減決めなくちゃ...な)

私は引き出しにしまっていた一枚の紙を取り出した。

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