異世界生活始まりの「ゆめ」
「ふふ、お腹いっぱいで眠たいのかな?」
眠気で薄れていく意識の途中家主さんの声が聞こえた、しばらくしたら体に毛布がかけられる。
「おやすみ」
その声を最後まで聞いて、私は眠りについた。
「っあ!」
ビクッと、体が揺れた、そして目覚める。寝かされている事と身体中汗でびっしょりな事以外何も分からない、横の机にランプが置かれているけど、周りはよく見えない。
「っ、はぁ...はぁ...」
運動したわけでもないのに息が切れてる、まだ頭がハッキリしない。
「わたしの、へや?」
横になりながら辺りをキョロキョロ見回す。
あぁそうだ思いだしてきた、あのクッキーを食べてすごく頭が痛くて...。記憶を辿っていく、次第に息も安定してきた。
「やぬし...さん」
夢を見たんだった、一番記憶に残ってる夢。あの人の名前を繰り返す。
コンコン
ドアがノックされた、家主だと直感で感じた。扉がゆっくり開く、ランプを持って入ってきた人の顔はたしかに家主で、幼女は横になりながら家主に向かって手を伸ばした。
家主もそれに気づき慌てて駆け寄った。
「っ!...起きたのかい?!体は?痛い所は、ない?頭は?!」
「ーーーやぬしさん」
「ごめん、今はそうじゃなかった。...良かった、無事で」
ぎゅっと手を握られた、取り乱した家主のこんなに悲しそうな声を初めて聞いた幼女は、泣いてるんですか?と問いかけた。
「泣いて、ないよ?」
そう言った家主の目尻には少し涙が浮かんでいた。幼女は「嘘つきですね」と微笑んだ。家主は苦笑いをして部屋の明かりをつけた、眩しさで幼女は目を細める。
「家主さん?」
「...ごめんね、あのクッキーのこと」
家主は再び幼女の手をつよく握った、幼女はできる限りの力で握り返す。
「あのクッキー、クロードさんのじゃないんですか?」
「あぁそうだよ。ある魔術がかけられてる試作品のクッキーで、店で買った物じゃないんだ。僕に試食して欲しかったみたいなんだけど、君が先に食べちゃって」
家主は気まずそうに話した。
「その、かけられてる魔術はね、夢を見る魔術なんだ、十年前一年前とか昔の事を夢として見られる魔術。お菓子に魔術をかけるのは初の試みらしくて、クロードも結構頑張ってたらしくてさ。体に害はないんだけど、試作品だから...」
「そうなんですか...あ、じゃあ」
「ん?どうかした?」
家主は、どこか痛むのかと心配そうに幼女を見る。
「じゃあ、せいこうですよ」
「え?」
家主は首を傾げ、幼女は目を細めてわらった。
「昔の夢みたから、成功です」
家主は一瞬理解できなかったみたいだが、はっとして少し悲しそうに笑った。
「ーーーっ、あぁクロードもきっと喜ぶ」
家主は悲しそうな喜んでるような混ざり合った顔をしてまた涙を浮かべた、そして無事を確かめる様に幼女を抱きしめ、良かった。と言い続けた。





