異世界生活始まりの「現実」
家主が料理のバリエーションを増やすきっかけと、家主と呼ばれるようになったきっかけのお話です。全て幼女の夢ですが、現実味のある夢なのはやっぱりあのクッキーのせいでしょうか?
ブックマークありがとうございます。
変な人に拾われて、2週間が経った。変な人の家は木で作られたお家で私のために一人部屋を用意してくれた。理由を聞くと「人間誰でも一人になれる場所が必要な時はあるからね」と言われた。
そして契約の通り、朝ごはん昼ごはん夜ご飯は全て変な人の手作りだった。お風呂もシャワーもあって、寝る場所もある。外は森だから何も遊ぶ物がないと思ったけど、近くの洞窟や花、川を見つけたり探検するのは楽しかった。
「で、今日の晩ご飯は何がいいかな?」
夕暮れ時、変な人がいつものように聞いてくる、でもいつも返す言葉は決まってる。
「いつものやつでお願いします」
「よし、いつものね」
いつものやつ、所謂定食のような決まったメニュー。というかこの変な人はそれしか作れない、たまに外から食べ物を買ってきたりするけど、基本的に手料理だ。
朝も昼も夜もメニューは炒めるのが基本、野菜炒めやよく焦げる目玉焼き、たまに何が入ってるのか分からないけど美味しいスープが出る。肉や魚も出るものの、味付けは同じ。
味はほとんど毎日変わらないけど、美味しいので文句も言わない。
「君は僕の料理で好きな料理とか出来た?」
「え?」
私は悩んだ、好きな料理を答えたらいいのかな、でも正直これ!というほど美味しい料理はない、どれも普通に美味しいから。
「えっと、うーん...」
「まさか無い感じかな、僕の料理、結構おいしいと思うんだけど不味い?」
変な人は少し戸惑っていた、よほど自信があったのかな。
「違います。えっとどの料理も美味しいですけど、でも特別好きな料理は...そんなに」
「なるほどーーー」
変な人は眉をひそめて考え込んでしまった。もっと他のいい答えにした方がよかったかな、とモヤモヤした気持ちになった。
晩御飯前にお風呂を済ませて髪をタオルで拭きながら居間へ行くと、キッチンからいつもとは違う匂いがした。変な人が料理をしてるんだろうけど、基本毎日同じ匂いか、たまに何か焦げてる匂いがしてくるのに、今日は誰でもない匂いがする。
「ん、もうお風呂上がったのかい?」
変な人は私に気づいた。
「あっ、はい」
「髪乾かすのちょっと待ってね、今肉を煮てるからーー」
(煮る?)
変な人からそんな言葉が出てくるとは思わなかった、確かにぐつぐつと煮えてる音がお鍋から聞こえる。
「ーーーいい匂い」
食欲をそそられるようないい匂いにポツリと呟くと変な人はこちらを向いて笑った。
「楽しみにしてて、今日は新しい料理に挑戦してみたから」
「...はい」
そういえば、ここの居間の窓からは朝日が綺麗に見えるらしい。だからたまに明け方にここでゆっくり過ごすのが好きなのだと、変な人は教えてくれた。
「とりあえずあとは煮るだけでいいかな。よし、髪乾かそうか。ドライヤー取ってくるよ」
変な人は洗面所にドライヤーを取りに行く、すぐに帰ってきて一週間毎日私の髪を乾かしてくれる。ボブだからなのと、髪の量が少ないからすぐ乾くけど。
「どう、気持ちいい?」
ドライヤーからブオオォォォン、と大きな音と風が吹くから変な人は少しだけ大きめの声で話しかけてくる。
「ーーーきもちいいです」
「良かった、ドライヤー好きかい?」
「はい」
「そっかそっか」
サワサワと少しくすぐったいぐらい優しく髪を撫でられる。
「ん、くすぐったいです」
「そう?ごめんね、あんまり力加減が掴めなくて」
「もっと力強くて大丈夫ですよ?」
私がそう言っても、変な人はあまり力を強めない。くすぐったくてじっとしていられない。





