異世界生活始まりの「むかしのこと」
ここから幼女視点になります、次は幼女の過去に少し触れるお話です。シリアスになるのかギャグになるのかお楽しみに。
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「おーもーいっ!」
「んーちょっと無理があるんじゃないかなぁ」
クロードさんの魔術を見よう見まねで家具を浮かばせようと奮闘する幼女だったが、重い木製のクローゼットはなかなか持ち上がらない。
ピクリともしない、一瞬浮いたような気がしたのもつかの間。
どうやらこうして物を浮かせる『空中浮遊魔術』は、魔術をかけている本人にかなりの肉体的負担がかかるらしく、呪文を唱えておしまいではないらしい。
つまり、幼女が浮かべようとしている重い木製のクローゼットを魔術で浮かせようとすると、クローゼットの重さの二分の一ほどを魔術ではなく自分一人で持てるほどの肉体的な力がなくてはいけない。浮かせようとしたら、それほどの負担が肉体にかかる。
逆に言えば、コップなど軽い物を浮かせたいならほとんど肉体的な力入らず、楽に浮かばせる事ができる。
「うぅ、重いぃぃ...っ」
「ほら無理しないで、ね?」
だが、幼女が二分の一でも重いクローゼットを持ち上げられる訳なかった。それでも幼女は意地になってしまい、クローゼットに呪文を唱え続ける。
「はぁはぁ、っはぁ...」
「ほらここは僕とクロードでやるから家に入りなさい」
「あぁ俺とコイツに任せて休んどきな。お嬢さん」
「う...はぁい」
息切れし始めた幼女に家主が真剣な顔で促した。幼女は渋々玄関をガチャリと開けて家に入り、誰もいない居間のソファに腰掛ける。
「ん?あっ、これ」
居間のテーブルをふと見ると白い紙袋に入った小さな箱があった。そういえばクロードさんが持ってきてくれた、お土産?だっけ。
「美味しそうっ、一個食べちゃおう」
白い箱を開けると、個別に袋に入ったチョコチップクッキーが入っていた、早速袋を開けて少し口いっぱいになったがクッキー丸ごと口に放り込んだ、サクサクしててチョコチップが沢山入ってる。
「もう一個...いいよね」
何だかやけに美味しい。普通のクッキーじゃないのかな、と袋に入っていたメッセージカードらしき物を開いた。
「スリープ、眠る?...っ、いっ!」
ズキンズキンと頭が痛み始めた。1秒2秒と秒単位でとんでもない痛さに変わって行く。息をするだけで精一杯で声すら出せない、すぐそばにいる家主さんにすら届かない。あまりの痛さで涙が出そうだった。
ソファからずり落ちて床に倒れる。
「う、っ!っあぁっ、やぬ、あーーー」
もうダメと、そこで記憶は途切れた。どんどん視界が狭くなっていって、最後にはもう何も考えられなくなった。
それから、少しだけ夢を見た。





