異世界生活始まりの「これから」
「あぁ記事ですか」
「はい、朝に書くと調子がいいんですよ。そういえば貴方がご愛読してくださってるとか...ええと、誰から聞いたのか...ええと」
誰かからそんな話を聞いた気がするのにそれさえも思い出せない。
「貴方を助けた女の子ですよ」
「女の子?それは、小さな子ですか?」
「そうですよ、まだ7歳の」
7歳という言葉を聞いて驚いた、自分はそんな幼い子に助けられたのか、しかも女の子か。
「そう、ですか。助けてくれたその子は無事なんでしょうか?」
「はい、下でぐっすり寝てますよ」
「それと僕自身、週間オークは欠かさず毎週読んでます。最新のニュースは勿論他の情報誌では載らない様な事が載っていて、比喩が独特で読んでいて面白いので」
「あ、ありがとうございます!」
直接こんな事を言われたのは初めてだ、9年間書き続けて来たがやはりオークに会うのは怖いのだろう、直接お礼や感想を言ってくださるような人はいなかった。
「まだ朝早いですから、寝ていてください」
「...あぁ、いや、紙とペンをください」
「え?」
「記事を、書きたいんです」
今の自分の体、そして昨日の出来事。全て記事にしたい。
小さな窓越しに見える空が少しずつ黎明を告げている。地平線から徐々に日が見えてきた、グラデーションと言うのかとても綺麗な明け方の空。
今思えば、ただただ子供と妻を生かして行く為に洞窟に篭り記事を書いていた頃は見えなかったな...。
「...私が書ける事を、これからまだ書いていきたいんです」
書けるなら、口で書いても足で書いてもいい。これからまだまだ書いていきたい。私なりに今のこの世界の事を伝えていけたらと願う、だからこそ休む訳にはいかない。
どれだけ体が痛くても、辛くとも苦しくとも、私の記事を待ってくれる人がいる事を忘れた日はない。
だから私は、この時も書き続けるとも。





