異世界生活始まりの「オークの記憶」
お父さんのオーク視点になります。
「ここは...」
朝4時、まだ薄暗い窓の外を見つめていた。娘と妻は?と体を動かそうとしたが、動く度に体のあちらこちらがズキズキと刺される様に痛む、体を起こす事すら出来ない。
そして立派なベッドに寝かされている事に気づく。
「俺は死んだんじゃ...」
「おはようございます、もう起きられてたんですね」
ノックも無しに扉が開かれたかと思えば、人間の男が入ってきた、片手にはタオルや水の入ったコップをトレーに乗せているのが見える。
「あぁまだあまり動かないで、傷が酷いんですから」
「あ、ぁ...つまは、むすめは?」
声が掠れて言葉すら満足に話せない。
「二人とも無事ですよ、それより貴方の方が重傷です。腕の包帯変えますね」
男は椅子に座り、右腕左腕の包帯をくるくると外しはじめた、赤い濁った血が滲んでいるのが見える。
「何かはっきりしない事とかありますか?例えば覚えてない事とか」
「わか、るんですか..」
どうやら心の中までお見通しらしい。
「じつは、昨日の夜やつらにやられた後のことが、よく思い出せないんです」
あの時、あの後の方がよく思い出せない。大切な記憶に霧がかかっている、覚えてるのは青白い光と俺を助けてくれた小さな体だけ。
「なるほど、強い衝撃や魔術で記憶に障害が残ったのかもしれません」
男は淡々と包帯を巻きながら答えた。
「強いしょうげき」
「はい。あ、お水どうぞ。飲めますか」
「のめます」
痛む体を無理やり起こして、支えられながらコップを男に持ってもらい、必死にコップの水を飲む。
「っ、はぁ...」
「ゆっくり飲んでください」
「ぐっ!」
水を出来る限り飲んだものの、腹から来る痛みに耐えきれず体が倒れる。
「大丈夫ですか?」
水さえ持って満足に飲めないなんて情けない、こんな姿を妻や子供に見られたらどう思うだろうか。
よく見ると、体はほとんど包帯で巻かれていた、そして色んな所で血が滲んでいる。
「それにしても、起きられるの早いんですね」
「え、あぁこの時間から記事を...書き始めるので」





