異世界生活始まりの「なみだ」
「...あの、家主さん」
お風呂であたたかいお湯につかって汚れを落とし、サッパリした幼女。パジャマを着て脱衣所から出るとすぐ前に家主がどっしりと仁王立ちしていた。
「あ、あの、家主さん?」
家主は何も答えないが、幼女を真顔でじいっと見つめている、幼女は若干脱衣所に後ずさりをした。
「家主さーん?」
幼女と家主の身長差は50センチ以上、家主から威圧感が感じられる。
「...おいで」
「え?」
家主がしゃがみこんだかと思うとそのまま手を広げた。
「来て」
有無を言えない雰囲気で幼女は抱きしめられる。ぎゅーっと5秒ほど家主に抱きしめられたところで、家主が幼女の耳元で呟いた。
「家主さん?」
「話を、聞きたい」
どくどくと波打つ心臓の音、幼女だけではなく家主からも聞こえていた。
「...はい。あ、あの、でもオークさんどうですか?」
「彼は大丈夫だよ、手当てして僕の部屋で寝かせてる。赤ちゃんとお母さんには君の部屋を使ってもらってる、勝手にごめんね」
「全然っ!大丈夫です」
幼女は首を横にぶんぶんと振った。
「彼の方はかなり重症だから、医者に見せた方がいいかもしれない」
「オークのお医者さんいるんですか?」
「いやオークじゃないけど、オーク達とかの人じゃない方達専門の医者、かな」
そんな人がいるんだ、と幼女はホッとした。家に着いてから幼女はホッとしてばかりだった。
「それで、話を聞いても?」
「はい...」
どこから話そうか、と幼女はお風呂に入っている間に少しだけ考えていた、あと聞きたい事もあった。





