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異世界で記憶のない毒舌幼女とポンコツ魔術師。  作者: くるすみ。
追憶の書。
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異世界生活始まりの「ただいま」


「っ、早く!お願い」

私は魔力が体を流れているのを感じながら、早く早くと願った。心臓がこれまでにないほど早く動いている。


「おい、彼処だ!捕らえろ!」

「っ...!」


近くから聞こえる魔術師の声、そして強烈な青白い光が私とオークさんの体を包む。



(昨日とまるで同じだなぁ...)


ふと、昨日の夜を思い出した。昨日に続いて今日はこれだなんて本当ついてない、いや呪われてるのかも。


でも良かった。


「...ついた、はぁーーー」

私は力が抜けて思わず土の上に座りこんだ。目を開けるとそこは見慣れた場所、私と家主さんの家の前。


そして隣には荒く寝息をたてて眠るオークさんがいる、でも周りに赤ちゃんとお母さんの姿が見えない。


私は一瞬慌てたが、家の明かりがついてる事に気付いた、そして一人じゃない声が聞こえる。時間はもう7時ぐらいか、8時ぐらいか。



「...あ、もしかして」


家主さんが世話をしてくれてるのかな。あぁ、そういえばこの前も怪我をしていた小鳥を拾ったら治るまで世話をして、家に置いておく事を許してくれたっけ。でも今日は小鳥じゃないし...。


ちらりと横目みたオークさんの体はやっぱり大きいし、家主さんのの身長と同じぐらいか、それ以上ぐらい。


「どうしよう、何も考えてなかった」


計画に精一杯で帰った時の事を考えてなかった。でもオークさんの体からは血が出てる、消毒と止血はしたい。


「...わたし、覚悟っ!」

土だらけの服をはたいて、ぺちっと頬を叩いて覚悟を決めた。いくら怒られてももうやっちゃった事は仕方ないし、オークさんを助ける為としてもボヤ騒ぎを起こしたのは事実。


「オークさん、ちょっと待っててくださいっ」

「......」


コンコン、と自分の家なのにドアをノックした。でも今はこうでもしないと家主さんが怖い。





「やぁおかえり、マイヴィーナス。随分と遅かったね」

にっこりと目の中は全くにっこりしていない笑みで出迎えてくれた家主さん。また、心臓が早く動いている。


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